季刊『道』 149号(2006年夏)
● 今号は五月女師範と宇城師範の対談において五月女先生の言った「日本の敗戦は今なんだ」の言葉が重い。
「今回の訪問は非常にショックでした。家の造りから生活の仕方、全部崩れている。家庭がない。衣食住がない。親がどう躾ていいかわからない。だから今こそ私が感じるのは、『日本の敗戦は今なんだ』ということです。ただ負けたんじゃない。精神的に負けたんだ」と。日本を長い期間はなれているがゆえに、そしてもちろん武道という道の先導者でもある先生であるがゆえに、今の日本の姿を敏感にそしてありのままに観た発言にまったく頷いてしまう。
武道がこの崩れた日本をそして世界を救う道しるべになるのだろうか。武道が今心有る師によって引き継がれている意味はここにあるのではないか。大げさではなくそう感じた。それは難しいことではなく、「日常では気が利くとか、相手のへの思いやりなど、瞬発力そのものですよね。稽古で瞬発力がない人は気が利かない。全部日常とつながっていますよね」と宇城先生の言うがごとく、日常そのものであるのだろう。最近朝のおはようという挨拶も、日常の中の礼という型のひとつだなあと感じている。
ちょうどこの道を読んだ次の日、日本の伝統の大相撲の露鵬-千代大海戦で勝敗決定後に起きたにらみ合いと前代未聞のカメラマンへの暴行事件があり、露鵬は3日間の出場停止となった。「“礼に始まり礼に終わる”国技大相撲においてもその乱れは甚だ……」と本号に書いていた木暮浩明氏の嘆きは、悲しくも証明された。
土俵下で露鵬が示した敵意をあからさまにした睨み付ける眼の奥に、今の日本人の崩れた姿が映っているような気がした。
このような世において、崩れた道を修復すべく、文武に学び未来を拓くという『道』の果たす役割は大きいと思わずにいられない。
(宮城県 男性)
● 辰巳先生のおっしゃること、うなずきながら読みました。成長をみつめること、大切ですね。
毎日私達が口にしているものが、加工前でも後でもいろいろと生産性を上げるために、農薬や添加物といったものたちに毒されているのが、本当に残念です。実際に農薬や添加物を食品に使っている人々は、自分の子どもが口にしたときのことを想像してほしいと思います。以前にこんな話を聞いたことがあります。ある農家は、市場に出す野菜と自分達が食べる野菜を分けて栽培している、と。それが意味するところを考えると、恐ろしいです。
すべての生き物は、成長するまでいろんな食べ物を吸収していきます。そしてほかのものと関係して影響を受けながら、ゆっくりと時間をかけて完成していきます。その営みに思いをはせたとき、本来あるべき生活のかたちが、くっきりと浮かび上がるのではないでしょうか。
(東京都 女性)
● 『道』読ませていただいて、いつもゲストの皆様の生き様に深く感銘を受けています。考え方、取り組み方、感じ方が皆さまとても新鮮でオリジナルなものをお持ちで、教えていただくものがいっぱいです。宇城師範がゲストの素敵なところを引出して、なお濃いものになっていますね。一つのことを並々ならぬエネルギーで突き詰めていっている共通点をお持ちの宇城師範とゲスト、その両者の柔軟な感性が響き合っている対談になっています。刺激的です。両者が交わしている言葉、意味をちゃんと受止めているかどうか自信がありませんが、これからも教えていただきます。
(岩手県 女性)
● 『道』に誌名変更されてから視野が拡がり、私はとても良いと思います。日本文化に共通する何かを探っていただきたいと思います。
(神奈川県 男性)
● 毎回楽しみにしていますが、なかでも宇城先生の対談が非常に楽しみです。
(千葉県 男性)
● 今66歳にして若い時の気持ちで、始めて手にした『道 149号』を拝読しております。今後の『道』を楽しみに、日々元気をいただきながら感謝の気持ちで過ごして行きたいと思っております。
(千葉県 男性)