私たちを生かす宇宙のしくみ
目に見えないものが世界を変える
森の哲人・オークヴィレッジ創設者 稲本 正
VS UK実践塾 宇城 憲治
世の中にいろいろな現象があっても、
『こんなものはないはずだ』とは思わずに、素直にいったん
受け止めることが大事だと思っています。
今の教育は、それを受け止めないようにする努力をするんですよ。
これを受け止められるようにするには、
自然と接することではないかなというのがひとつ。
それから植物のほうが、動物より素直に
受け取っているのではないかと思っています。
デカルトによる身体と精神を分離する心身二元論をルーツに始まった近代合理主義は、その後ニュートン、ダーウィンなどに引き継がれ現在に至っているが、その要素還元的な思考は、生命などのように機械的に分析できないものの全体像をかえって見えなくするなど、現在もその弊害は続いている。
今号では217号(2023夏)で登場いただいた森の哲人・稲本正氏に宇城憲治氏との対談に再びご登場いただき、いかに目に見えないものが、目に見えるもの以上に私たちに影響を及ぼしているか、さらに、モノと心は相互に依存しつながりあっていることなどについて、稲本氏には原子の視点や植物間コミュニケーションの話から、宇城氏には自ら発する「気」や人間の潜在力の可能性の話から、それぞれ語り合っていただいた。
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人間を不幸にした近代合理主義
宇城 今日は稲本先生の本を読み、重要なところをまとめてきました。原子の話で、人間の細胞は37兆個あり、その細胞の一個一個には約1000兆個の原子があると。「気」というのはたとえば身体を固くしたり柔らかくしたりなど、細胞をコントロールできるのですが、この細胞を構成しているのが原子であり、原子核の周りには電子があるということで、「気」は電子を動かしていることにもなるのかなと。その辺りを是非お聞きしたいと思っているのですが。
稲本 分からないことがいっぱいありますよね。そもそも僕がなぜ物理をやったのか、その辺りのことは季刊『道』217号のインタビューでお話をさせてもらいましたが、ようするに細胞というのは分子でできていて、分子は原子でできている。その数がかなり膨大なんですね。
多くの人がこのことについて間違えているのは、デカルトの『方法序説』という小さい本によってなのです。
デカルトが何を言ったかというと、当時、遺伝子について分かっていなかったので、「人間とサルは全然違う生物である」と。人間だけは思考して、サル以下はいわゆる自然の物でしかないという二元論ですね。さらに人間の中でも頭だけが理性を持っていて、身体は持っていないから、首から下も全然違ったものであると。ようするに分析的手法ですべてのものを切り刻んで考えれば成功する、それをやれば神に近づけると言ったわけです。
もう一つの間違いは、みなデカルトを哲学者だと思っていますが、本来は宗教学者ですよ。彼は「私の言うとおりやれば皆さん神になれますよ」みたいな話をしていて、それが世の中に浸透してしまった。
このデカルトの後にニュートンが出てきました。ニュートンは、ある角度で大砲を撃てば必ずここ(狙ったところ)に落ちると予測して、それが当たったんですよ。
(※16 ~17世紀のヨーロッパでは砲弾の軌道の研究がさかんに行なわれ、ニュートンは絶えず変化する山なりの砲弾の進行方向を計算で求める〝新しい数学〟〔のちの微分積分〕を発明した)
この辺りからいわゆる近代合理主義には不可能はないということで、近代合理主義が神化していくことによって人間が不幸になっていくのです。
今はそういう考え方は「ラプラスの悪魔」(=現状分析からの未来決定)と言われていますね。ようするに世の中のすべては、ある予測をすればその通りいけるだろうと言ったのです。
シュレディンガー『生命とは何か』が気づかせてくれたもの
稲本 これに対しシュレディンガー(オーストリア出身の理論物理学者1887-1961)が『生命とは何か』という本を書くのです。それまでニュートンの「宇宙は永遠にある」「未来は予測できる」という考えが信じられていたなか、シュレディンガーは量子力学者で「未来はよく分からない」と言うのです。
人間というのはものすごい小さいもの(原子の集まり)で、ものすごく多くの細胞が動いている余りに大きな生きものだと彼は言っています。たとえば、国立競技場を原子一つだとすると、原子核は砂一粒くらいほどの小さいもの。その原子核がテニスボールぐらいだとすると、電子は山手線の周りを飛んでいる。東京のど真ん中のテニスボール(原子核)が、山手線の周りくらいを飛んでいるもの(電子)と、電気的に引き合っている、つまり左右されているというのはすごいことですよね。
そのテニスボールがいくつか集まると、より重い原子になり、それが組み合わされて分子ができる。その分子だって細胞になるまでにはめちゃくちゃの数が必要なわけですよ。
この山手線の周りを回っている蚊のような電子の動きが、実のところ人間の意識を変えたり無意識を変えたりしている。植物にも動物にも影響している。
そしてシュレディンガーは生物が長い歴史を持ち何億年前から進化してきたわけだから、何かそこに秘密の暗号があるはず、あるソフトを持っているはずだと考えた。しかもそれは安定して変わらずに存在していなければと考え、遺伝子を予測するのです。僕はこれが彼のすごいところだと思う。
彼はなおかつ『物質と精神』という本を書いています。今言われているソフトとハードについてですね。「気」というのはある意味ソフトですよ。ソフトとハードが離れていると思っているのは間違い。その典型的なのものが遺伝子だと。遺伝子という暗号で細胞ができていく。モノになっていくわけです。モノはなおかつ情報を持っている。そのもとになる遺伝子は情報であり、モノなんですよね。
彼の『生命とは何か』を読んで、実際に遺伝子を見つけたのがジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックです。彼らはDNAの二重らせん構造を発見し、ノーベル賞を受賞しています。
いずれにせよ僕らが考えなければいけないことは、モノと心とか精神と言われているものは離れているのではなく、お互いに作用しているということ。この原則は科学的にも証明されていますが、そのことを縄文時代の人は分かっていたんですね。
それを産業革命以降に分けてしまったのが間違いであり、それをまた繋いでみるということが、今一番重要なことなのです。
宇城さんが言われている「気」や、何かの情報で急にモノが変化したり、あるいはモノが変化したら「気」が変化するというように「相互作用」が起きている。近代の文明はそういうことが「起きない」という大原則でできていますから。
宇城 まさにその通りですね。
稲本 それを「起きるのだ」というふうに変わると、いろんなことが変わっていくと思うんですね。
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●プロフィール
◎ いなもと ただし
1945年 富山県生まれ。シベリアに抑留された医師の父親は帰国後家族よりも他人のために働き、あまりに多忙であったことから、小学5年生の時に「医者だけにはならない」と決意する。中学生までは野球少年時代を過ごし、その後小説家を目指したが、文学者だった叔父に「才能がない」と言われ、大学では原子物理学を専攻。中間子論でノーベル賞を受賞した湯川秀樹とともに研究した武谷三男(現象論、実体論、本質論の武谷三段階論で知られる)の下で学ぶ。卒業後も大学に残り研究を続けたが、次第に原発の安全性に疑問を持つようになり、シュレディンガーの『生物とは何か』を読んで自然や宇宙の基本に植物が大切であることを悟り、74年飛騨高山に移住。オークヴィレッジという工芸村を設立し、木製の玩具、アクセサリー、インテリア、建築までを手掛ける。現在は樹木や植物の利他的性質を再評価し、人間の生き方を見直す活動を行なっている。
87年環境総合プロデュース会社オークハーツ設立。
94年『森の形 森の仕事』で毎日出版文化賞受賞。
『森の惑星プロジェクト』開始。
トヨタ白川郷自然學校設立校長。東京農大客員教授。岐阜県教育委員を17年務める。
著書に、『緑の生活』(角川書店)、『森の惑星』『日本の森から生まれたアロマ』『森の旅 森の人』(世界文化社)、『脳と森から学ぶ日本の未来』(WAVE出版)など多数。
◎ うしろ けんじ
1949年、宮崎県生まれ。
エレクトロニクス分野の技術者、経営者として活躍する一方で武道修行を積み、文武両道の生き様と、武術の究極「気」による指導で、人々に潜在力を気づかせる活動を展開中。「気」による「不可能が可能となる体験」は、目に見えないものを信じられない人にも気づきを与えるとともに、人間本来の自信と謙虚さを取り戻すきっかけとなっている。
空手実践塾、道塾、教師塾、企業・学校講演などで「気づく・気づかせる」指導を展開中。
㈱UK実践塾 代表取締役
創心館空手道 範士九段
全剣連居合道 教士七段
宇城塾総本部道場 創心館館長
みんなで生き みんなで幸せ
自然栽培が教えてくれたこと
一般社団法人農福連携自然栽培パーティ全国協議会 理事長
社会福祉法人無門福祉会 事務局長
磯部 竜太
『農こそが福祉』だと思っています。
それは稼ぐためではなく、生きるための農業。
そこに軸を置いた農業では、みんながつながり、
みんなの『我が事』になるんですよ。
農業をやっていくと
『生きるとはこういうことじゃないか』ということが
感じられるのではないかなと思っています。
一般社団法人農福連携自然栽培パーティ全国協議会(愛称・自然栽培パーティ)とは、障害のある人それぞれが、様々な自然栽培農業の役割を担って活躍することにより、障害者の雇用の確保や自立はもちろん、一人ひとりが生きがいをもって社会に参画していくことをめざす団体だ。
障害のある方が、室内作業ではなく外に出て誰にも大切な「食」に関わる農業に取り組むことは、障害ある方々の生きる力となるのみでなく、近隣地域住民との交流や、ボランティアを通しての企業との連携、さらには休耕地の積極活用など、今ある社会の課題をよりよい方向へ導く糸口ともなっている。
9年前に5団体で始まったこの活動は、今や全国で129団体が参加しているという。社会福祉法人無門福祉会の事務局長で、自然栽培パーティの理事長を務める磯部竜太氏に、この活動の魅力、そして可能性を語っていただいた。
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地域の輪が生んだ自然栽培 ―― 活動のきっかけ
―― 5年前の2019年に、福祉施設で自然栽培を実践し、この業界のパイオニア的存在と言われる佐伯康人さんに取材させていただきました(202号)。磯部さんの活動は、この佐伯さんを通して始まったとのことですが、まずは自然栽培パーティとはどのような活動であるか、お話しいただけますでしょうか。
磯部 もともと佐伯さんが愛媛県のメイドイン青空という施設で障害のある方と自然栽培に取り組み、障害のある方の賃金の向上や自立を目指して活動されていたのですが、ヤマト福祉財団という、障害のある方の自立を支援している財団さんが、この佐伯さんの活動に興味を持ち、そういう素晴らしい事例であれば検証事業をしましょうということになったのです。
全国から5施設が集まり、自然栽培が障害のある方の仕事や働きがいに本当につながるのかという検証事業を2年間やることになり、佐伯さんを指導者としてスタートしたのがきっかけでした。私が事務局長を務める無門福祉会もその一つでした。
すると検証事業1年目でいろいろな変化が起きたのです。同じ福祉施設の仲間が全国で集まって、無肥料無農薬という未知なる世界をちょっとワクワク、ドキドキしながら、「本当に大丈夫なの?」という心配をFacebookグループで共有しつつ、励まし合いながらやっていったわけですが、まず広島の施設で重度の障害のある方が、なんと田植え機に乗れることが分かってびっくりしたのです。知的障害のあるその子は、実はおじいちゃんの手伝いをしていたのだと。そういう事例が報告されたり、あとはそこに何十年も施設があったけれど、これまで一度も交流がなかったのに、利用者さんたちが作業をしていると、近所の方が「あんたら頑張っているな」と家に上げてくれてお茶を振舞ってくれたと。そうやって障害のある方に自然と交流が生まれ出したのです。
新しく自然栽培をやることで、地域の輪が生まれてきたと同時に、全国5施設の仲間が意気投合して情報交換したり悩みを相談し合ったりした。そうやって全国でつながってひとつのことをやっていくことは素晴らしいし、何より地域福祉でつながることができる、という実感がありました。
福祉施設には何か社会から外れた仕事をしているというような意識を持つことが多いんですよ。それが、社会の中へ出て障害のある方々を中心に地域の方たちとワイワイやっている姿や、全国の仲間同士がつながる姿は、すごく楽しくて、こういう活動をブランディングしていこうという話になりました。それで「楽しいし、賑やかだし、みんな仲間だよね!」ということで、「自然栽培パーティ」と名付けて、畑にのぼりを立ててお揃いのシャツを着て、楽しく作業することをモットーにやってきたのです。
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●プロフィール
◎ いそべ りゅうた
1976年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後、青果物の営業職を経て、2002年に社会福祉法人無門福祉会に入職。2015年より自然栽培による農業を開始。自然栽培パーティの取り組みに参加し、近隣農家や企業、学校とも連携しながら、自然栽培を実施している。
一般社団法人農福連携自然栽培パーティ全国協議会理事長、社会福祉法人無門福祉会事務局長。
季刊『道』の連載者と読者の集い
― 子どもたちの未来を守るために、いま私たちができること ―
去る2023年11月23日、東京千代田区の一ツ橋ホールにて開催された、どう出版主催「季刊『道』連載執筆者と読者の集い」。
各講演・対談・鼎談のダイジェスト。
〈登壇者(敬称略)〉
宇城憲治/岩井喜代仁/金澤泰子/山元加津子/佐々木隆/野村哲也
工藤清敏/前島由美/安藤誠/野中ともよ/増川いづみ
オープニング ミニコンサート Yae
自分にはない生きざまに触れること、
気づかなかったことに気づくこと。
季刊『道』は、こうした体験こそが
人生を豊かに、またよりよい方向へ
変化していく力となると信じています。
季刊『道』はこれまで各界で活動する方々をたずね、その生きざまの原動力に学び、そのエネルギーを伝えたいと発信してきた。当日は季刊『道』の執筆者が一人も欠けることなく一堂に会し、また500名以上の読者が全国各地から参加。12名の登壇者による熱気あふれる講演、対談、鼎談が5時間にわたり繰り広げられた。
まさに『道』の実践者ファミリーが集った日。日頃『道』で受け取っている連載者のエネルギーを直接受け取り、交流する様子を抜粋してお届けする。
◆健康回復学研究所所長 工藤清敏
連載『塩から社会を見てみれば』
「病気は自分で治すもの」
怪我と病気をきっかけに、ミネラルバランスにすぐれた塩を摂る大切さを知り実践してきた工藤清敏さん。長年にわたる塩の研究と実績を土台に、自然治癒力の要が塩にあることを全国に伝え歩いている。
減塩が当たり前になっている今、人と塩の関係から見えてくる、さまざまな社会の矛盾や課題を見つめていきます。
◎ くどう きよとし
精神免疫学をページ・ベイリー博士に学び、心と体に最も優しい治療法を探求。生き方、考え方、言葉と塩と植物で生活習慣病が回復していくことを伝えている。
◆ゆめの森こども園代表 前島由美
連載『愛の関わりと連携で、輝きを取り戻す子どもたち』
「周りの笑顔と見守りで、生きる力をつけていく子どもたち」
療育支援施設「ゆめの森こども園」で、生き辛さを抱えている子どもたちに向き合う前島由美さん。愛情いっぱいの関わりと、親御さんや学校・地域と丁寧に連携によって本来の輝きを取り戻していく子どもたちの実例を紹介していきます。
◎ まえじま ゆみ
療育支援施設ゆめの森こども園を開き「発達障害」とされる子どもたちをサポート。子どもの食環境改革を目指す。
◆写真家・ネイチャーガイド 安藤誠
連載『日常の奇跡』
「ありがとうは、有り難い(盲亀の浮木)」
ネイチャーガイドとして自然と向き合う安藤氏。
目に見えないものを見、声なき声を聞くプロフェッショナルとして、私たちが見過ごしている「日常の奇跡」を、一瞬を切り取った写真とともに届けます。
◎ あんどう まこと
写真家/ウィルダネスロッジ・ヒッコリーウィンドオーナー&ガイド
北海道アウトドアマスターガイド。
◆銀河浴写真家 佐々木隆
連載『私たちは銀河のなかに生きている』
「雲巌禅寺と武蔵」
生かされていることに気づけば、人生はもっと豊かになる。
銀河を舞台に生命の息吹を写しとる、佐々木隆氏の銀河浴写真。
◎ ささき たかし
銀河浴写真家。銀河と地球を一体化させた写真で新聞掲載多数、数々の賞を受賞。元公立高校教諭。
◆写真家 野村哲也
連載『地球を歩く ~知られざる絶景を求めて~』
「我ら南アフリカ・ゴージャス隊」
世界に飛び出し旅するからこそ見える、日本のこと、自分自身のこと。
秘境と絶景を求めて 150ヵ国以上を旅してきた写真家 野村哲也氏の連載。
◎ のむら てつや
写真家/高校時代から山岳地帯や野生動物を撮り始め、〝地球の息吹き〟をテーマに、アラスカ、アンデス、南極などの辺境地に被写体を求める。渡航先は150ヵ国以上で著書は14作。
◆作家 山元加津子
連載『ありのままの私たち』
「思いを伝える『おはなしノート』」
人と違っていても、障がいがあっても、人はみな素晴らしい力を持っている。
植物も動物も人間も、みんなでひとつの命を一緒に生きている――。
長く特別支援学校で子供たちと接してきた山元加津子さんが伝える、生きる上で大切なこと。
◎ やまもと かつこ
長年、特別支援学校の教員を務める。作家。植物状態と思われる人も回復する方法があり、思いを伝える方法があることを広める「白雪姫プロジェクト」を推進中。古民家を中心とした「モナの森」で、生きる力を強くするための活動を行なう。
◆書家 金澤泰子
連載『きょうも、いい日』
「翔子の魔法は天をも動かす―― すべては仕組まれていた」
ダウン症の書家として活躍し、また生活面でも独り立ちをはじめた娘、翔子さん。その成長の日々を、母金澤泰子氏が綴ります。
母娘の絆に、胸が熱くなります。
◎ かなざわ やすこ
書家。久が原書道教室主宰。
一人娘、翔子さんをダウン症児として授かり苦悩の日々を送るが、その苦しみを越えて、翔子さんを立派な書家として育て上げた。
◆茨城ダルク代表 岩井喜代仁
連載『今日一日を生きる』
「入寮者がスタッフとして育つ 静岡ダルク」
薬物依存者が社会復帰を目指すリハビリ施設として、薬物依存回復の確立した方法論を持つダルク。
自ら薬物依存症の道を歩みながら、今は仲間の回復のために茨城ダルク代表を務め、各施設を回り責任者やスタッフを育てる岩井喜代仁さん。
仲間に励まされ、支えられ、許され、受け止められながら、入寮者が回復に向かっていく姿は毎回感動です。
ともに苦しむ仲間の絆があるからこそ、人は前に進むことができるのだと教えてくれます。
◎ いわい きよひろ
薬物依存回復施設 茨城ダルク「今日一日ハウス」代表 女性シェルター代表
自身が薬物依存症となり、苦しみ抜いた末にダルクと出合う。以来、救う側へと生まれ変わり、薬物依存に苦しむ子供たちを預かり、共に生きて回復を目指す。
◆UK実践塾代表 宇城憲治
連載『気づく気づかせる』
「現在に存在する希望 ― 希望を可にする「気」―」
最先端のエレクトロニクス技術者として、さらには企業のトップとして活躍してきた宇城憲治氏は、現在徹底した文武両道の生き様と、武術を通して得た「気」によって、人間の潜在能力の開発とその指導に専念。
現在、氏は目に見えないものを目に見える形にするために、「普遍性、再現性、客観性」の実践検証をもって「目に見えないもの」の存在を解き明かす研究を先行させている。
◎ うしろ けんじ
㈱UK実践塾 代表取締役 エレクトロニクス分野の技術者、経営者として活躍すう一方で、武術の究極「気」の指導で人々に潜在能力を気づかせる活動を展開中。
創心館空手道 範士九段。全剣連居合道教士七段。宇城塾総本部道場 創心館館長
◆編集部コラム 『心の奥の取材ノート』
番外編「交流イベントに寄せて」
交わした言葉、ちょっとした仕草、振る舞い ――
今もありありと思い出す、取材で出会った人たちの思い出を綴ります。
217号の会見に引き続き、今号の巻頭対談にご登場いただいた稲本さん。いつお会いしてもそこに何ら壁がなく、すべてを自然体で受け止めてくださいます。対談でお話しくださった原子や植物間のコミュニケーションの世界からすれば、見えなくても実際に起こっていることは山ほどあって、今私たちがあり得ないと思うようなことを、今の自分のレベルで否定するのではなく、大きな器をもってものごとを見、まずは受け入れていく、そんな大人にならねばとあらためて教えられた思いでした。
磯部さんの実践は、まさに、農業、福祉、環境、地域交流、様々な課題解決をまるごとパックにしたような活動でした。磯部さんが、障害のある方の生き方、幸せを最優先にし、そこから決してぶれなかったからこその広がりだったと感じます。この活動は、いろいろな事業に携わる方々のヒントになるのではないかと思いました。
11月に行なった交流イベントの内容をあらためて抜粋して記事にさせていただきました。当日は運営することで頭がいっぱいで、じっくりお話を聞くことができなかったのですが、原稿にまとめながら、登壇してくださった方々の真剣な思い、ぶれない心に何度も触れ、あらためて忙しいなか当日いらしてくださった先生方に心からの感謝がこみ上げあげました。本当に宝のような時間でした。
(木村郁子)
作務衣姿でひょいっと現われた稲本さん。自然体で常に勉強と「実際にやってみる」を積み重ねておられることは、取材時だけでなくSNSの発信で分かります。それは宇城先生も同じで、そんな両氏が互いの著書を読み込んで臨んでくださった対談は、今の日本の抱える問題・課題を打破する実践と提案が湧き出てくるようで、未来を切り拓くのは実践者だ!とカメラを抱えてワクワクしっぱなしでした。
名古屋駅から車で郊外へ……。眺めが田畑に変わり、辿り着いた取材場所はすてきなティーハウス。絶品紅茶とホットサンドをいただきながら、磯部竜太さんに自然栽培パーティのお話を聞きました。活動の軸からお金をはずしたらすべてがうまく回り出した事実は、農福連携だけでなく身の回りの様々なことに応用可能ではないか。やりがいをもって楽しく取り組めるか、互いを思いやり気持ちよく過ごせるか――。効率や拝金主義では解けない問題を自然栽培パーティは軽々と乗り越えている! 今後も目を離せない活動です。
『道』の実践者が集ってくださった交流イベント。ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました! つながることで湧く力、自分以上の力が出ることを改めて実感いたしました。当日ご都合が合わなかった方、ぜひアーカイブをご覧ください!
(千葉由利枝)