207号 (2021冬)


テーマ 「見えないものを見える形へ」

今まさに、目に見えないコロナウイルスにより
私たち人類は翻弄されている状況ですが、私たちはまた、
目に見えない多くのものに支えられて生きています。

そうした目に見えないものへの感謝の思いと希望を込めて
今号をお届けします。

 

2021年1月21日発売

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読者の声

  巻頭対談

目に見えないエネルギーが問う 私たちが進むべき未来

漫画家 美内すずえ

VS UK実践塾代表 宇城憲治

 

  道207号 対談 美内・宇城


私が見た未来では、人類の意識が高次に進化していて

個人の所有欲がない。物欲がないので、価値観が全く違う。
社会は貨幣経済ではなく、違う価値観で動いている。

好きなことを仕事にし、みんながみんなの役に立っている。
エネルギーは空間物質の波長などを利用し、
自然と調和した精神性の豊かな社会を築き上げている。
むろん戦争などはありません。

人類が本来の霊性に気づき、この地上で生きる時、
そういう未来が現出するのだと思います。

16歳の時に高校生漫画家としてデビューしたという美内すずえさんは、老若男女に40年以上愛され続けている長編漫画『ガラスの仮面』の作者だ。幼い頃から不思議な体験を重ね、17歳の時に啓示的な夢を見て、人の心や精神を動かす目に見えない大切なものの存在を確信。人類は宇宙や自然界ともっと調和して生きるべきというメッセージを伝えたいと、1986年から『アマテラス』を描く決心をしたと言う。

対談で美内さんがご自身の神秘体験や、あらゆる生命を育ててくれているエネルギーの存在、そして未来の自分から送られたという未来図などが語られると、同じく目に見えない「気」のエネルギーの存在を、人間の潜在能力の開発という形で実証し、対立から調和の世界への移行を展開している宇城氏が、一つひとつそれらを裏付ける形で応えるなど大いに盛り上がった。まさに、新たな次元への転換期がきていることを示唆する対談となった。

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美内 渦には目に見えない“中心”がある。それを体現してみせるわけですね。

宇城 円の中心に私がいて、気を発すると周りの時空に変化が起き、勝手にぐるぐる回り出す。その動きがまさに波動なんですね。私がパッと自分を消すと、つまり中心が消えると、回っていた動きがぐあーっと暴れ出して、円の外に弾き飛ばされるようになる。それを第三者が止めようとすると、かえって強いパワーになって巻き込まれていくのです。そういうエネルギーは、今の常識にある筋トレなどの力とは全く次元の異なるものです。

美内 すごいですね。先生自体が“聖地”なんじゃないですか(笑)。昔、日本の聖地霊地を5千ヵ所あまり回ったのですが、面白いのは、聖地によっては手を合わせるだけで体が回転し始めるのです。ということは大地の底からそういう回転する螺旋のエネルギーが出ているということですよね。宇城先生の場合は、先生の中心にそのエネルギーがおありになるのでしょうね。
神前で巫女が舞を舞うのは、私は、もとは巫女が大地から発せられる聖地の螺旋のエネルギーを感じ取って舞ったのではないかと思っています。それが「舞」の原点だと。
トルコに昔から伝わるメラブーナという踊りでは、男の人が長いスカートをはいてただぐるぐる回転するのですが、回転することでトランス状態になって神とつながる。宇城先生のお話を聞いていますと、“気”もまた神のエネルギーという気がします。

宇城 先ほど「波」の話がありましたが、「境がない」というのはよく分かります。竹を刀で斬る時に、「堅い」と思うと竹は刀をはじきますが、私には竹が柔らかく見えるんですね。そうするとスムーズにスカッと斬れるのです。
また体重は一定なはずなのに、気によって同じ人を重たくしたり軽くしたりもできます。私の場合は複数の人が私を持ち上げようとしても持ち上げることができません。おそらく地球とつながっている重力の度合いを変化させているのだと思うのです。

美内 うわっ、面白いですね! 先生、そりゃあ、もう超人ですよ。漫画のいいヒントになりました(笑)。しかし、驚きですね。先生のような方がこの世に存在しているなんて。

宇城 こういう実証は漫画のほうが、目に見えないところを見える形で描けるので、より真に迫った形で、「気」のエネルギーを描けるのではないでしょうかね。『アマテラス』を読んでいて、そう思いました。

美内 ありがとうございます。先生、すごく面白いです。先生はそういうものを全部身体で体得していらっしゃる。というか、その中に入っていらっしゃる。しかもそれを自在に使われている。ご自分の“気”の中心に先生の意志がある。そういうことですよね。

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『道』207 巻頭対談 p8-9

 

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●プロフィール

◎ みうち すずえ
1951年2月20日生まれ。大阪府出身。16歳の時、『山の月と子だぬきと』が集英社『別冊マーガレット』で金賞を受賞し、高校生漫画家としてデビュー。 以後、『13月の悲劇』『はるかなる風と光』『妖鬼妃伝』等、次々に意欲作を発表し、人気漫画家となる。
1976年から連載の『ガラスの仮面』(白泉社)は開始当初より超ベストセラーとなり少女漫画史上、空前のロングセラー作品として、各界から絶大な支持を受け、TVアニメ化、ドラマ化、舞台化されている。
その他、光と闇の伝奇ロマン『アマテラス』(白泉社)では、自らの神秘体験を盛り込んでおり、メッセージ性の高い読み物として、幅広い層に愛読者が多い。

◎ うしろ けんじ
1949年、宮崎県生まれ。
エレクトロニクス分野の技術者、経営者として活躍する一方で武道修行を積み、文武両道の生き様と、武術の究極「気」による指導で、人々に潜在能力を気づかせる活動を展開中。「気」によって体験する不可能が可能となる体験は、目に見えないものを信じられない人にも気づきを与えるとともに、人間本来の自信と謙虚さを取り戻すきっかけとなっている。
空手塾、道塾、教師塾、野球塾、企業・学校講演などで「気づく・気づかせる」指導を展開中。
㈱UK実践塾 代表取締役
創心館空手道 範士九段
全剣連居合道 教士七段
宇城塾総本部道場 創心館館長

  ロングインタビュー

見えないものをアートがあらわす
「縄文田んぼ」で気づく、日本人のあり方

アーティスト/ネイティブフルート奏者 真砂 秀朗

 

道207号 真砂秀朗 道207号 真砂秀朗 道207号 真砂秀朗

洞窟に住んでいて、最初に絵を発明した我々の先祖は、
みんなアーティストだし、シャーマニズムという形で開発したわけです。
その結果、自然の意識ともつながることができるところまでいっている。
だから、「なんとなく」移動するべき時や狩りのタイミングが分かる。
そうやってすべて意識の中で生きていた時代なのだと思います。

ネイティブフルート奏者であり、絵と音のアーティストとして活躍する真砂秀朗さんは、神奈川県葉山で、「冬期湛水・不耕起農法」という、冬から田に水を入れ、そのまま耕さずに春に田植えをする農法で、夫婦が食べる1年分の米を栽培している。
自ら「縄文田んぼ」と呼ぶ田んぼは、すべてがバランスをとってシンクロする世界。世界各地のネイティブカルチャーを訪ね歩き体験してきた真砂さんは、そうした自然と折り合う人々の、特に日本人にある原点の感覚を、独自の音楽や絵として表現する。それは目に見えなくとも実在のものとして感じる、アーティストならではの表現の世界だ。
今に至る真砂さんの活動の思い、「農」への思いを伺った。

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真砂 我々の先祖が洞窟に住んでいた頃、世界中に岩に絵が彫られている。ペトログリフと呼ばれるそうした絵は、基本的にはその頃の氷河期の狩りの獲物なんですよ。ただし、それは動物を見て写生しているものではなく、自分の中にあるイメージを描いている。それがすごく生き生きしている。それを描くことで、その部族が無意識レベルで共有している「意識」でお互いつながることができたわけです。
それが「デザイン」であり「アートの原点」なんです。絵=シャーマニズムなんですが、それを残した人たちが僕らの先祖で、多分そこで猟をする技術、意識が共有され、うまくいったのだと思うのです。人同士だけでなく、絵を通して、自然を通して、要するに獲物の世界と自分たちとが目に見えない意識の世界でつながった。
そのように「アート」として残してきた人間(ホモ・サピエンス)は生存しているけれど、残していないクロマニヨン人などは、氷河期を生き延びられていないという研究があります。
シャーマニズム=アート=デザインというものを人間が発明して、その領域を自分たちが使うことができたので、人間というのは生きてこれたのだと。つまり意識の拡大というか。そこが僕にとっては大きな元のところなのです。
ですから、最近は書をやっているのですが、書も自分にとっては全部サインなのです。それは田んぼをやることとも同じで、今の時代、共有している意識をポジティブな形に、つまり「見えないもの」を「見えるもの」にしていくということです。それがアーティストだと思っています。

音色の世界を大事にする
インディアンフルート

―― 今の真砂さんの、農業をやりながらのライフスタイルだからこそ、そういうサインを生み出せる土台があるわけですね。真砂さんが「縄文田んぼ」と呼ばれている田んぼは、年にのべ20日間ほどしか手入れをしないと伺いました。

真砂 私がやっているのは「農業」ではなくて「農」なんです。自分が食べる分を作っているので、経済的なことは一切なく、農業とは方向性が違います。
何も世話をしないわけではなくて、季節のタイミングに合わせて種を蒔き、草を年に2~3回刈るべき時に刈る。そういう本当に最小限のやり方ですが、だからこそ田んぼにも「意識」が通ってくるわけです。生きものだから。田んぼや稲も生きものとして感じるようになるんです。
たとえば嵐が来るからと心配で田んぼを見にいくと、そこで「あ、大丈夫だ」とそういう感じがするんです。

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『道』207 真砂秀朗 p24-25

 

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●プロフィール

◎ まさご ひであき
1952年生まれ。独自の音楽表現と同時にヴィジュアルアートの分野で活動する「絵と音楽」のアーティスト。世界各地のネィティブカルチャーへの旅の体験と印象から、自然と折り合う人々の原点にある感覚を多くの絵や音の新たなイメージとして生み出し、インディアンフルートやバンブーフルートを中心に作曲・演奏活動をしている。著書に詩画集『星の神話探し』、絵本『レインボーブックス』シリーズ(ミキハウス出版)、エッセイ集『畔道じかん』など。

  ロングインタビュー

やりたいことを、やる!
森の教室が引き出す子どもたちのエネルギー

いもいも副主宰・料理研究家 土屋 敦

 

道207号 土屋敦 道207号 土屋敦 道207号 安藤誠

僕が子どもに「こうだよ」と働きかけるのを1とすると、
同世代の子ども一人がちょっと働きかけて起こることは100くらいすごいんです。
そこはもう全く勝ち目がない。
難なくチャレンジして難なく彼らの世界を作り、難なく生き生きする。
僕なんて本当に無力ですよ。

子どもたちの「生き生き」や「輝き」を広めたいと栄光学園の数学講師・井本陽久さん(前号掲載)が始めたのが「いもいも教室」。そのプログラムの一つが、平日の昼間に開催されている「森の教室」だ。この教室を担当する講師の土屋敦さんは、井本さんと栄光学園時代の同級生で、書評家や料理研究家としても活躍してきた。
土屋さんへのインタビューに先立ち、「森の教室」に丸一日参加させてもらい、その様子を取材させていただいた。

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「何もしない」キャンプは、
やることがいっぱいあるキャンプ

―― 「何もしないキャンプをしたい」という発想はどういうところからですか。

土屋 単純に僕が子どもだった頃、学校の行事で「何時起床」とか、一斉にご飯を食べるとかが、すごく嫌だった。ストレスだったんです。それより僕はずーっと焚火をしていたかった。そういう自分の欲求を叶えるというのが一つ。
それと、一番最初に「いもいも」でキャンプをした時、何も決め事がないキャンプではあったのですが、宿の都合で食事だけは何時と決まっていたんです。そうするとどうしても「早くしろ」と言わざるを得ない。でもそう言う自分が嫌だったんです。それが二つ目の理由です。
起床6時半と決めると、みな寝坊をしてくるけど、何も決めないと、絶対早起きするだろうなと思っていた。実際、「いもいも」のキャンプでは、子どもたちは5時半に起きてきました(笑)。

―― 自分が嫌だと思うことを排除していったら、「何もしないキャンプ」になった、と。でも何もしないどころか、みんなめちゃめちゃいろんなことやっていましたよね。

土屋 そうですよね。ものすごいプログラムの量でしたね。今日は僕、ヘトヘトになりましたもの(笑)。箸も2人で30膳くらいできていましたね。しかもちゃんと竹で作った箸入れとセットになっていた。作った子は自信に溢れた目をしていました。

―― 焚火の火をつけた子は、「俺がつけた火がまだ生きているぞ!」って嬉しそうでしたね。

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『道』207 真砂秀朗 p36-37

 

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●プロフィール

◎ つちや あつし
「いもいも」副主宰。料理研究家。書評家。1969年東京生まれ。慶応大学経済学部卒。出版社勤務を経て京都で主夫生活を3年ほど送る。その後中米各国に滞在し、ホンジョラスで災害支援NGOを立ち上げる。佐渡で半農生活を送りつつ、雑誌の書評の執筆を開始。現在は山梨に暮らしながら執筆活動を行なうほか、「いもいも」の講師として小中高生の教育にも携わる。著書に『なんたって豚の角煮』『男のハンバーグ道』『男のパスタ道』など多数。

  連 載

道207号 前島由美

 

◆ゆめの森こども園代表 前島由美
連載『愛の関わりと連携で、輝きを取り戻す子どもたち』

「お母さんの気持ちに寄り添い、連携して子どもを守る」

療育支援施設「ゆめの森こども園」で、生き辛さを抱えている子どもたちに向き合う前島由美さん。愛情いっぱいの関わりと、親御さんや学校・地域と丁寧に連携によって本来の輝きを取り戻していく子どもたちの実例を紹介していきます。

◎ まえじま ゆみ
療育支援施設ゆめの森こども園を開き「発達障害」とされる子どもたちをサポート。子どもの食環境改革を目指す。

 

◆写真家・ネイチャーガイド 安藤誠
連載『日常の奇跡』

「川で哲学するキムンカムイ」

ネイチャーガイドとして自然と向き合う安藤氏。
目に見えないものを見、声なき声を聞くプロフェッショナルとして、私たちが見過ごしている「日常の奇跡」を、一瞬を切り取った写真とともに届けます。

◎ あんどう まこと
写真家/ウィルダネスロッジ・ヒッコリーウィンドオーナー&ガイド
北海道アウトドアマスターガイド。

道207号 船橋康貴

 

◆一般社団法人ハニーファーム代表 船橋康貴
連載『ミツバチが教えてくれること』

「しがらみを越えて軽やかに前へ」

ミツバチ絶滅の危機は人類滅亡の危機
私たちが生きていくための環境維持に欠かせないミツバチの存在を伝え、守ろうと東奔西走する船橋氏。
その活動の「今」を伝える。

◎ ふなはし やすき
養蜂家・環境活動家。
世界中で激減しているミツバチを守るために、環境のプロとして、ミツバチを使った「ハチ育」や町おこしなどを行なっている。

道207号 佐々木隆

 

◆銀河浴写真家 佐々木隆
連載『私たちは銀河のなかに生きている』

「強制隔離 別れの桟橋」

生かされていることに気づけば、人生はもっと豊かになる。
銀河を舞台に生命の息吹を写しとる、佐々木隆氏の銀河浴写真。

◎ ささき たかし
銀河浴写真家。銀河と地球を一体化させた写真で新聞掲載多数、数々の賞を受賞。元公立高校教諭。

道207号 野村哲也

 

◆写真家 野村哲也
連載『地球を歩く ~知られざる絶景を求めて~』

「母の夢(石垣島)」

世界に飛び出し旅するからこそ見える、日本のこと、自分自身のこと。
秘境と絶景を求めて 150ヵ国以上を旅してきた写真家 野村哲也氏の連載。

◎ のむら てつや
写真家/高校時代から山岳地帯や野生動物を撮り始め、〝地球の息吹き〟をテーマに、アラスカ、アンデス、南極などの辺境地に被写体を求める。渡航先は150ヵ国以上で著書は14作。

道207号 山元加津子

 

◆作家 山元加津子
連載『ありのままの私たち』

「うれし涙は、天使がかける優しい魔法」

人と違っていても、障がいがあっても、人はみな素晴らしい力を持っている。
植物も動物も人間も、みんなでひとつの命を一緒に生きている――。
長く特別支援学校で子供たちと接してきた山元加津子さんが伝える、生きる上で大切なこと。

◎ やまもと かつこ
長年、特別支援学校の教員を務める。作家。植物状態と思われる人も回復する方法があり、思いを伝える方法があることを広める「白雪姫プロジェクト」を推進中。

道207号 金澤泰子

 

◆書家 金澤泰子
連載『きょうも、いい日』

「翔子の散歩 ―― 気高く、前を向いて」

ダウン症の書家として活躍し、また生活面でも独り立ちをはじめた娘、翔子さん。その成長の日々を、母金澤泰子氏が綴ります。
母娘の絆に、胸が熱くなります。

◎ かなざわ やすこ
書家。久が原書道教室主宰。
一人娘、翔子さんをダウン症児として授かり苦悩の日々を送るが、その苦しみを越えて、翔子さんを立派な書家として育て上げた。

 

◆茨城ダルク代表 岩井喜代仁
連載『今日一日を生きる』

「家族会の立ち上げ 茨城ダルク家族会」

薬物依存者が社会復帰を目指すリハビリ施設として、薬物依存回復の確立した方法論を持つダルク。入寮者が回復へのレールに乗れるかどうかには、実は「家族のあり方」が大きく影響している。
ダルクをサポートする「家族会」は、入寮者家族が薬物依存症について学び実践する場であるとともに、当事者同士で悩みを共有し、支え合う場でもある。
ダルクと出合って以来、自らも薬物依存回復の道を歩みながら、一人でも多くの仲間の回復を求めて各地にダルクを開設、家族会をけん引してきた岩井喜代仁氏に、家族会の取り組みについて聞くとともに、家族会代表の手記を紹介する。

◎ いわい きよひろ
薬物依存回復施設 茨城ダルク「今日一日ハウス」代表 女性シェルター代表
自身が薬物依存症となり、苦しみ抜いた末にダルクと出合う。以来、救う側へと生まれ変わり、薬物依存に苦しむ子供たちを預かり、共に生きて回復を目指す。

道207号 宇城憲治

 

◆UK実践塾代表  宇城憲治
連載『気づく気づかせる』

「人間力の源泉 ― 寄り添う ―」

最先端のエレクトロニクス技術者として、さらには企業のトップとして活躍してきた宇城憲治氏は、現在徹底した文武両道の生き様と、武術を通して得た「気」によって、人間の潜在能力の開発とその指導に専念。
現在、氏は目に見えないものを目に見える形にするために、「普遍性、再現性、客観性」の実践検証をもって「目に見えないもの」の存在を解き明かす研究を先行させている。

◎ うしろ けんじ
㈱UK実践塾 代表取締役 エレクトロニクス分野の技術者、経営者として活躍すう一方で、武術の究極「気」の指導で人々に潜在能力を気づかせる活動を展開中。
創心館空手道 範士九段。全剣連居合道教士七段。宇城塾総本部道場 創心館館長

◆編集部コラム 『心の奥の取材ノート』

「剣道範士 森島健男先生のこと」

交わした言葉、ちょっとした仕草、振る舞い ――
今もありありと思い出す、取材で出会った人たちの思い出を綴ります。

  編集後記

■取材が決まってすぐに『ガラスの仮面』全49巻と『アマテラス』全2巻を読破、すっかり美内先生の深遠な世界にはまってしまいました。これは一体どんな対談になるのだろう……わくわくドキドキの入り混じった気持ちで迎えた取材当日でした。
目に見えないけれど、「ある」世界。美内先生は漫画という形で、宇城先生は実践という方法で「見える形」にしてくださっている。これほどまでに目に見えないお話で盛り上がるとは。4時間近くに及んだ対談はあっと言う間でした。
『道』にぴったりと紹介された土屋さんは、実践・行動ありきの人。キャンプでの子どもたちとの時間は、「これこれ! 昔はみんなこんなふうに過ごしてました!」という、まさに自由で独創的で解放された時間。子どもたちに絶対に必要な時間と空間を土屋さんは守ってくれているのだと感動しました。
真砂さんが語ってくださった「農」とアートの世界。私たちのあるべき姿を先取りして形にする真砂さんのお話は、対談でのアーティストの目覚めのお話と重なり強く印象に残りました。
取材はそれぞれランダムに決まって進められるのですが、終わってみると、連載記事も含め、すべての記事が目に見えない何かでつながっている。そんな不思議な感覚を強く持った号となりました。そんなつながりを大切に、本年も発信してまいります。

(木村郁子)

■『ガラスの仮面』に出合ったのは小学生の頃でした。以来、連載を楽しみに、大人になってからは単行コミックの発売を心待ちにしています(今も!)。その美内先生の神秘体験からくるメッセージ発信と、宇城先生の「気」の体現を土台とした人間づくりは同じ一つの目的に向かってなされていると感じ、このお二人の対話は今後も続くのではないか…と、待ち望む事柄が一つ増えたのでした。
「森の教室」で見た風景、子どもたちの表情はとてもなつかしく、自分もアケビや桑の実採り、タケノコ掘り、ザリガニやドジョウ捕り……と、そこそこ山遊びをしていたことを思い出しました。思えば今、都市部で育つ子どもたちには、そうした経験は大人が環境を整えてやらなければできなくなっています。自然という場を準備してやる大切さを、土屋敦さん、イモニイは教えてくださいました。
真砂さんを訪ねたギャラリー明風は、古い家を手入れしたというとても気持ちのよい場所でした。真砂さんは小さな茶器で、一煎目、二煎目と風味が変わっていくお茶を淹れてくださりながらお話をしてくださいました。言葉や思考を介さず感じるもの、「なんとなくそうする」ことの連続が私である……そんな気づきがありました。今をおろそかにしないために、「なんとなく」の源となる感性を磨くことを、遅い!と嘆かずやっていきたいと思います。

(千葉由利枝)

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