「進歩成長とは、変化することである。
変化するとは、深さを知ることである。
深さを知るとは、謙虚になることである」
これは、世界で人間の潜在能力の存在に気づかせる指導を展開している宇城憲治塾長が、指導の根幹に置かれている言葉です。
誰もが自分の成長を望みます。しかし望むだけでは進歩も成長も手にすることはできません。人が進歩・成長する時、そこにあるのは、以前とは格段に違う「変化」です。できなかったことができるようになる。以前だったら不安に思っていたことが気にならなくなる。明るくなった、積極的になれた。何か以前とは雰囲気が違う ―― 成長とは、つまりそこに何らかの「変化」があったという証であるのです。
1月16日 学校実践講習会
午前〈第1部 学生対象〉
午後〈第2部 教師塾〉
去る1月16日、奈良県立桜井高校で行なわれた宇城憲治塾長の2016年 学校実践講習会・教師塾は、まさに参加者の「変化」が形となって表現された時間ではなかったかと思います。 それは、例年参加されている方であれば、誰もが感じたであろう、講習会全体が醸し出す雰囲気であったり、参加者の表情や姿勢から紡ぎ出されているものでした。そしてそれは何よりも、参加者の感想文に表われていました。
<700名が、一つになる雰囲気>
16日午前〈第1部〉で行なわれた学校講習会には、中学生、高校生を中心に小、中、高、大学生と、その指導者、保護者をあわせて700名が参加しました。また午後の〈第2部〉教師塾には、異なる教育現場で指導をする指導者、教師が、定員の50名をはるかに超えて約90名が参加しました。
数十校の異なる学校から、それぞれの先生に引率されて、クラブ活動も野球やサッカー、バスケット、吹奏楽部など全く異なるクラブに所属する子供たちが、まるで一つの学校の生徒であるかのように700名がぴしっと整列している〈第1部〉の光景は、冒頭から圧巻でした。これまでも体育館に置かれた靴やカバンがきちんと並べられていたり、挨拶がしっかりしているなど、生徒さんたちの行儀のよさには感心させられてきましたが、今年はとくに外から見えるだけではない、なにか内面に一つ共通した軸というか、まとまりを感じました。
「雰囲気の違いに驚きました。今までに感じたことのない柔らかい雰囲気に学校全体が包まれているのを感じ、先生の教えを実践していくことで、このように学校を変えていくことができるのだという、うれしさと驚きと希望が湧いてきました。」
(教員 山口から参加)
「正門を入った時点で、校舎全体から暖かい空気が出ているように感じました。帰り際に生徒さん達が一糸乱れぬ礼を当然のようにされていました。この、桜井高校の皆さんの姿を見ただけで、本当に希望というか、胸の奥底から暖かい光が出てくるような、そんな気持ちになれました。」
(一般 福島から参加)
「衝撃的だったのは、途中宇城先生が壇上に上がられたときに一斉に舞台付近に参加者がすごい勢いで集まったその光景でした。指示もない中で自然に学生たちが宇城先生に引き寄せられるあの光景にすごいエネルギーを感じましたし、先生が常々おっしゃっておられる「人は魅力で引き寄せる」という言葉が目の前で実際起こりました。その光景に何故か体全体が熱くなりました。」
(大学野球部監督 大阪)
「毎年惹きつけられる魅力、レベルの違いの変化に圧倒されます。 特に惹きつけられる魅力には驚きました。宇城先生が話をされる、気の体感を実践される度に体育館にいた人がどんどん前に行くのが分かりました。気づけば体育館の前半分にほとんどの人が集まるといった状態でした。
自ら率先して手を挙げて前に出たくなる人の数と速さにも驚かされました。 」
(大学生 京都)
「講習会を聞いていく上で、大人の姿が違うことに驚きました。やはりこの講習会を受ける人は皆、宇城先生の“気”の可能性を感じたからこそ、ここにいるんだなと思いました。またそういった大人の姿勢は普通の大人とは違い、宇城先生の話に食い入るような目や姿勢を感じました。そういった姿勢こそが僕たちが何をするにも持ってなくてはいけないものだと感じました。」
(高校生 京都)
学校講習会では当然生徒さんたちは毎年入れ替わるので、同じ生徒が参加しているわけではありません。「目に見えない変化というのは少人数ではわかりにくいことがあるが、人数が多くなるとその変化がよりわかりやすくなる」と宇城塾長はよく言われますが、まさにこうしてばらばらに一堂に会した生徒さんたちが同じ雰囲気を醸し出しながら、ひとつにまとまっているということは、全国各地で宇城塾長に学んでいるそれぞれの教師や指導者自身が、何より変化、成長された証なのではないかと思いました。
<心の力>
16日の午前、午後とも、講義、実践の中心となったのは「心の力」でした。 とかく「力」と言うと、筋力トレーニングであったり学歴のことであると思われがちですが、この日、宇城塾長が実践講義で示したのは、目に見えない「心の力」がいかに「外の力」とは桁違いな力、強さをもつかというものでした。
「本来の人間の力を引き出す大事な要素として、「心の力」の大切さがあります。
今日は、実際にこの「心」という目に見えない内面が、外に目に見える形となり、「心」が外の力以上にあることを示していきます。 つまり「調和、仲良くする、思いやり、助け合い」の心をもてば強くなり、「対立、衝突、争いの心」をもてば弱くなる。
ぜひこの違い知って帰ってもらいたいと思います。」
以下は、調和と対立の実践検証を体験した生徒さんたちの感想です。
「二人がいがみ合ったり、気合を入れて踏ん張ろうと思ったらすごく弱くなって、二人が自分たちはすごく仲が良いと思っていると、とても強くなり、押されても動かなくなりました。これは筋トレなどのトレーニングでは作れない内側の強さがあることを知りました。
竹刀での実践指導では、相手が振りかぶった瞬間に宇城先生はもう相手を叩いていました。 かっこつけたり、いろんな動きをするのではなく、堂々とすべてをさらしているように見えました。 」
(高校野球部 1年 奈良)
「負けたくないと思って取り組むのが一番自分の力を発揮出来ると思っていましたが、実は人間は対立する時より調和する時の方が力を発揮すると学べました。調和という愛の力を意識して、今後の人生に生かしていきます。」
(大学野球部 2回生 大阪)
「先生が僕たちに伝えて下さったことは野球のことだけではありませんでした。相手を思う気持ちや、人に幸せになってほしいという常に相手を一番に思うことでした。
僕が一番すごいと思ったことは、人は素直になったり、謙虚になるということが大切だと先生が言っていたことです。その心を持つことで新しい能力が出てくるのです。これからは思いやりの心を大切にしていきたいです。」
(高校野球部 1年 大阪)
「自分の中で一番印象に残ったことは、身体は嘘をつかないことです。内面と外面はつながっているのだと感じました。まずは人としても身体を強くするためにも、自分にも他人にも絶対に嘘をつかないようにしようと決めました。」
(高校野球部 1年 岐阜)
こうした一連の検証を通じて宇城塾長が身体を通して示したものは、心の在り方が正しければ、身体が勝手に答えを出してくれる、そしてその「心」を動かしていけば、正しい行動につながっていくということです。
本来教育というのは、エデュケーション、すなわちエデュースという生まれもつ潜在能力を「引き出す」ものであると言います。しかし、現在の教育システムは、あまりに知識や偏差値、競争を偏重してきたために、教育そのものが「教え込む」というティーチングになってしまっています。そのあり方を組織という枠組みのなかで変えようと思っても、すでに手遅れである、と宇城塾長は言います。
しかし塾長の指導は、今私たち大人ができることはたくさんあることを示してくれています。それは、まず大人や教師自身がいかに理屈の教育を受けてきたかに気づくこと、その事実を受け入れること、そしてこれからは子供たちの能力発揮の邪魔をせず、そのままを伸ばしていける大人に、教師自身が変わっていく努力をするということです。
それはまさに、自ら学び、真実を見抜く力をつけるという、塾長が常に諭されている、「気づく、気づかせる」の学びの実践です。
参加されたある高校の教諭は、生徒さんの感想文から、それまでの自分が見えていなかった部分に気づかされたと語っていました。
「初めて参加させたので、生徒たちの感想文が正直とても心配でした。彼らはどちらかというと文章を読んだり書いたりするのが苦手な子たちだと思っていました。ところがほとんどの生徒が落ち着いた丁寧な字で書いており、感じたことも多かったのでしょう、かなり多くの感想が書かれていました。生徒たちは能力をもっているにもかかわらず、自分が勝手に過小評価し伸ばしてあげることができていないことを痛感しました。」
(高校野球部 監督 奈良)
午後の教師塾の最後、宇城塾長は「凧上げの話」を例に、指導者のあり方を諭されました。それは、親であれ教師であれ、指導者は“子供”というそれぞれの凧が思うぞんぶん空を舞うことができるよう、凧の糸をしっかり引っ張り握る役目を果たさなければならないということです。そして何より、指導者自身も、自分を師とするのではなく、師となる人をもって、常に勉強をし、さらなる挑戦を続けていかなくてはならないのだということでした。
そこにあるのは、まさに知識、肩書きではなく、その人の生き様、人間性であり、人を人として育てていくあり方です。それはかつての日本で行なわれていた、人から人へ、心から心へ映していく日本本来の人を育成するあり方であると感じました。
以下は、この学校講習会を実現させ、以来多くの生徒や教師たちの変化を牽引してきた桜井高校教諭の森島伸晃先生の学校講習会の感想です。 森島先生は、この桜井高校での講習会が、それぞれの方にとって、「日常を確認したり、戻ってこれる場」となることを願っていると語ります。
「宇城先生は、講習会後、「教員・指導者の方々の進歩・成長、また変化を今回はもの凄く感じ、子ども達の姿を通してはっきりとそのことを感じた」と述べておられました。 自分も、子ども達一人一人に、個人そして集団としての成長と、一年間、あるいはこれまでしっかりと積み重ねてこられた証を肌で感じさせていただきました。
皆さん、桜井高校の生徒さんは素晴らしいとお褒め下さいますが、その素養は無論彼らのみで養生されたものではありません。 当日寄り添ってお手伝いいただいている方々や平素彼らに関わってくださっている多くの先生方やご父兄の方々のお蔭です。そして強いおもいをもって宇城先生に学びたい、学ばせたいと集まってこられた心ある大人達がいつも子ども達の周りにおられるからこそです。 大人の愛情、真心を感じた彼らの行動が、また我々大人に返ってくる。様々のことを感じさせてくれる。有り難いことです。
教える側こそが学ぶ、学び続けることの大切さ、その学ぶ姿勢・生き様が「子ども達の学びたいという意欲」を掻き立て進歩成長へと導くということを、あらためてあの場で感じ入ることができました。皆さん、本当にありがとうございます。最高に楽しかったです。」
受講した生徒、教員の感想はこちらでご覧ください。
[学校実践講習会 参加者の感想]
京都 実践講演会 〔1月17日〕
翌日17日には、ハートピア京都にて、宇城塾長による今回で3回目となる京都実践講演会が開催されました。当日は学生、一般合わせて180名が参加、会場は満席となりました。
講演会冒頭で塾長は、現在、世界はいろいろな意味で一触即発の状態にあり、日本は非常に厳しい状態にあること。しかしながら、日本全体はスポーツなどのイベントに心を奪われ、迫りくる危機を感じ取れない状況となっている。まずは平和ボケした状況から脱し、一人ひとりが何が大事であるかに気づく必要がある、と話されました。
検証実践に入る前に、塾長はある番組で取り上げられたネズミの実験の例の話をされました。それは、モルヒネ入りの水を飲んだネズミはその後もふつうの水ではなく、モルヒネ入りの水を飲み続けるという実験結果があるが、それをカナダのある研究者が、そのマウスをまったく別の、楽しく過ごせる仲間がいる環境に入れて様子を見たところ、ふつうの水を飲み始めたという実験例です。
このことは、正しい状況が用意されれば、薬などに頼らずに本来のあり方に戻すことができることを示しており、それは人間も同じで、塾長は、その状況を作る力が家族や友人、周りの愛情であったり、目に見えない「心」の存在であるのだと話されました。
そして、「今日は、そうした目に見えない「心の力」がいかに大事であるかを、調和と対立の身体のあり方の違いについて体感するなかで、理解してもらいたい」と話されました。
繰り広げられた検証は、「調和」と「対立」の違いをさまざまな角度、切り口から気づかせていく実践でした。なかでも、がっちり組んだスクラムを押す検証では、会場から大きな歓声があがっていました。男性の大人がいくら押しても崩せなかったスクラムを、会場に来ていた赤ちゃんや妊婦さんに触ってもらうと、あっけなく倒すことができたからです。
この検証は、筋肉の力と調和する力の違いの真実を明確に示す実践であり、それまで常識と思っていたことが覆される事実に、多くの感想が寄せられました。
「スクラムを組んだ人たちを横から押す検証の時に、私の1歳3ヵ月になる子どもを呼んでいただき、大人が押しても変わらないが、子どもが手伝うと変わる(スクラムを崩せる)ことを実際に体験させていただきました。
いろいろと教えなければならないと思って育児に取り組んでいましたが、子どもの持つ未知なる力をあらためて感じ、子どもから学ぶ姿勢で育児を楽しみたいと思いました。 」
(理学療法士 27歳 男性 大阪)
「感じたことは、子供の力です。実践の中で大人の男性が押しても動かないのに、赤ちゃんがその背中に触れるだけで、押せるようになるというものでした。 実際に押されているほうだったので、本当に身をもってその違いを感じました。
目の前で起こっていることを大人である私たちは何か仕掛けがあるのではないか、という目で見てしまいます。しかし、子供達は単純に凄いと感じます。その違いは頭で考えるか、純粋に心で感じるかだと私は思います。もっともっと自分の感性、感覚を大事にして、変化していこうと思います。」
(教員 25歳 男性 京都)
「実際に前に出させていただき、変化を感じさせていただけました。 自分で感じられていない力を感じさせていただき、今までの常識だと自分で思っていることが常識ではないということ、自らの力の限界を自ら決めつけて、今まで生活してきたような気がして参りました。
大切な子供たちと関わる仕事をさせていただきながら、子供たちの邪魔をしていたのではないかと反省しています。」
(教員 33歳 男性 奈良)
その後塾長は、昔の無刀流の再現とも言える、振りかぶる木刀のなかに入り、戦わずして相手を制するという実技や、1対多数の腕相撲、さらには触れずに倒す腕相撲の実践など、不可能であるとされることを次々にやってみせ、さらには塾長自身のみでなく、気を通すことで第三者にも実際にやらせるという実践を息つく間もなく展開していくと、会場全体が塾長一点に集中し、その場の雰囲気がひとつの塊のように一体化していくようでした。
「宇城先生の実践を通じて、目の前で起こることを信じられない高校生や大人に対し、小さいお子様は常に大はしゃぎで、凄い!やってみたい!と話している姿がとても印象的でした。
人間の可能性のすばらしさ、人間は生まれながらに完成形であるということを信じられなくさせてしまっているのは、我々大人であり、子どもは始めからその能力を持っているし、理解しているのだなと改めて気付かせて頂きました。」
(学校教員 女性 京都)
「実際に「ありえない」と思っていたことが出来てしまう様子を見ることができ、素直に謙虚になること、相手を大切に思う重要性を感じました。生徒たちと向き合う日々の中で、常に調和ということを考えていきたいです。」
(学校教員 33歳 女性 京都)
「「日本人は自分の知っている知識の中で、照らしあわせようとし、その中に無いものについては疑う所がある」という話がありました。所詮自分が知っていることは、ほんの小さい世界であるという事です。その中で生きている自分の狭さを痛感するとともに、まだまだ自分には伸びしろがあるのではないかとも思いました。しかし、その伸びしろも自分が変化し、前に進んでいくからあるのであって、悩んで行動をせず、立ち止まってもダメであると感じました。また自分が変われば周りも変わる、というようにまずは自分からです。恐れずに前に進んでいこうと思いました。」
(学校教員 25歳 男性 京都)
今日本では、過去にはあり得なかったような残虐な事件や家族間での殺人、心ない詐欺や不正事件などが多発しています。それは、心の教育を置き去りにしてきた戦後教育のツケであると塾長は言います。そして3世代それが続いたら、それがDNAになるのだと。
古き良き日本を知っている世代は、この急速な日本の堕落と、その波にのまれていく若い世代の姿に、なすすべもないか、あるいはあきらめの境地に立たされています。しかし塾長は、常にどこにいても、誰に対しても、かかえる現実を厳しく指摘しつつも、必ずそれを取り戻す方法があること、答えがあることを示してくださいます。
その一つの証が、今回の奈良の学校講習会で誰もが感じた、子供たちに見る変化と、それを支えた教師の方々の変化、成長ではなかったかと思います。
まさに塾長が常々言われる、
「進歩成長とは、変化することである。
変化するとは、深さを知ることである。
深さを知るとは、謙虚になることである。」
「自分が変われば周りも変わる」一人革命の実践です。
「心が動けば、行動につながるのです。」
「かつて世界では、「日本人であること」が、信頼、信用の代名詞となり、世界へのパスポートでありました。まじめ、誠実、思いやり。この誇るべき日本人の資質を取り戻す方向に向かわなければなりません。」
この2日間で塾長が示されたことは、一つ。
人間性の大切さ です。
そして人間性とは、まさに心の力、真心であるということ。この心の力を取り戻す調和の世界へ向かうことが、今私たちが直面する様々な課題の答えとなること、そしてその答えが、一人ひとりのなかにあるという塾長のメッセージは、参加者の心に大きな感動と気づきとなったことは間違いありません。
2日間のイベントを成功に導いてくださった奈良桜井高校の森島先生をはじめ先生方、生徒さん方、そして京都実践講演会を一丸となって支え実行してくださった塾生の皆様、本当にありがとうございました。
受講者の感想はこちらでお読みいただけます。
[学校実践講習会・実践講演会 参加者の感想]