『道』194号

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194号 (2017秋)

テーマ 「愛ある自立が未来を切り開く」


2017年10月23日発売

 

「今翔子は書家と言われますが、あれは翔子の愛情です。『お母様はこれをやらないと苦しいのだろうな』と分かっていて、自分から辞めたいとは決して言わなかった。これは翔子の愛です。
私の姿が悲しくて泣いていたんです。ですから翔子にあるのは愛ですね」(金澤)

ダウン症の翔子さんのありのままをお母様の泰子さんが綴り続ける。
その翔子さんの愛あふれる行動や、翔子さんにまつわる不思議の数々。さらには、寄りかかることなくきっぱりと歩み出した翔子さんの自立への決意。
それらはすべて私たち人間が、今見失いつつあるものではないのか――。

科学や知識では決して解けない真実があることを、翔子さんは私たちに問い続けている。

読者の声

  巻 頭 対 談

湧き上がる愛のエネルギー
―― 翔子が見せる、人間本来の力 ――

書家 金澤泰子 VS UK実践塾代表 宇城憲治

  

「 翔子はいつも一人で何百人もの人を湧かせたり、不思議な力があるなと思っていたんですが、
アインシュタインの有名なE=mc2の数式が愛の数式であるというのを宇城先生の本で知って、
何人でも何千人でも湧かせてしまう、翔子の得体の知れない力に納得したんです。
だって翔子には愛しかないんですもの。」

今やダウン症の書家として、日本全国で活躍する金澤翔子さん。その母、金澤泰子さんは、障がいのある娘を授かった苦しみを乗り越え、これまで翔子さんと共に、1000回近く講演活動を展開してきた。
奇跡としか思えない偶然や出会い、どこに行ってもお天気に味方され、人の痛みや苦しみを瞬時に察知して癒してしまう翔子さん。そんな翔子さんの不思議の根源に何があるのか――。
長年人間の潜在能力の開発に携わってきた宇城憲治氏は、誰をも引きつけ幸せにする翔子さんの調和力こそ、人間の本来のあり方を示している、と語る。
翔子さんに見る様々な不思議や愛ある行動を読み解いていく本対談は、私たちが見失ってしまった人間としての真実の姿を改めて浮かび上がらせるものとなった。

  ロングインタビュー

納得して生きているか ―― 自らに問い、行動する
低線量被曝から子供たちを守るために

松本市長 医師   菅谷 昭

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大事なのは、運命をどうやって受け入れて、
それを生かすために、どう行動するかだと思います。

43歳の決断後、菅谷昭氏は、チェルノブイリ原発事故の被災地支援に医師として関わり、1996年からは大学の職を投げ打って単身ベラルーシに移り住み、5年半にわたり甲状腺癌で苦しむ多くの子供たちの医療支援を続けてきた。
「自らを生かす」その信念は、医療現場だけでなく、帰国後に挑戦した松本市長としての市制の世界でも、大きな土台となった。
医師として、市長として、菅谷氏の活動を支えたものは何か、その原動力についてお話をうかがった。

自然の中でのびのび育つ子供たち
やがて社会を変える力に

麦っ子畑保育園園長   大島貴美子

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障がいのあるお子さんだけでなく
アレルギーのある子の親御さんたちが、
泣く泣く必死で辿り着いたのが麦っ子保育園だった。
だからやっぱり麦っ子は
絶対に受け皿にならなければならない、
という思いがあるんです。

両親が働く家庭が増えている今、保育園・幼稚園は、子供が多くの時間を過ごす大切な場だ。
麦っ子畑保育園は、「障がいがあっても必ず通じ合える」という大島貴美子園長の信念のもと、「どんな子でも誰であっても受け入れる」と決め、一人の赤ちゃんを自宅で預かることから保育を始めた。
子供に本当に必要なことは何か。日々職員が保育のあり方に真剣に向き合い、現在のような自然を先生とするあり方に変化させていった。大島園長の実践は、大人が意識を高め本気になれば、どんな状況でも子供たちを守ることができることを教えてくれている。
園舎を一新し認可保育園として新スタートを切った大島園長に、保育への思いを聞いた。

  連 載

◆一般社団法人ハニーファーム代表 船橋康貴 連載『ミツバチが教えてくれること』

「『便利信仰』から『自然デザイン』の生活へ」

ミツバチ絶滅の危機は人類滅亡の危機
私たちが生きていくための環境維持に欠かせないミツバチの存在を伝え、守ろうと東奔西走する船橋氏。ミツバチとの触れ合いから浮かび上がる「人間の都合で考えない生き方」。

道188号 連載対談 金澤泰子・山元加津子

◆金澤泰子 ・ 山元加津子
対談『何があっても大丈夫 人間の可能性を見つめて』

「『絶対無理』も工夫と助けがあれば実現できる」

ダウン症の娘・翔子さんを立派な書家に育て上げた金澤泰子さんと、特別支援学校教諭として障がいをもつ子供たちと長年接してきた山元加津子さん。
本誌での連載で、人間の可能性とやさしさを伝え続ける両氏の連載対談が実現しました。
現在の「常識」にとらわれず、事実と体験を基準に考え行動することで、思いがけない未来が拓けていくことを教えてくれます。

◆宇城憲治 連載『気づく気づかせる』

「実証先にありき ― 潜在能力(人間はすごいぞ)を引き出す実践 ―」

 
最先端のエレクトロニクス技術者として、さらには企業のトップとして活躍してきた宇城憲治氏は、現在徹底した文武両道の生き様と、武術を通して得た「気」によって、人間の潜在能力の開発とその指導に専念。

現在、氏は目に見えないものを目に見える形にするために、「普遍性、再現性、客観性」の実践検証をもって「目に見えないもの」の存在を解き明かす研究を先行させている。

岩井喜代仁 連載

◆茨城ダルク代表 岩井喜代仁 連載『今日一日を生きる』

「与えられるものを信じる ――  磐梯ダルク開設」

薬物依存者が社会復帰を目指すリハビリ施設として、薬物依存回復の確立した方法論を持つダルク。まだまだ課題はあるものの、行政との連携も進み、認知度も高くなった。それは、全国にダルクの数が増えたことも大きく影響しているだろう。
ダルクと出合って25年、自らも薬物依存回復の道を歩みながら、一人でも多くの仲間の回復を求めて各地にダルクを開設してきた岩井喜代仁氏に、各施設の開設と現在に至る道のりを聞くとともに、施設責任者の手記を紹介する。

194-nomura◆写真家 野村哲也 連載『地球を歩く ~知られざる絶景を求めて~』

「野生の楽園(知床)」

世界に飛び出し旅するからこそ見える、日本のこと、自分自身のこと。
秘境と絶景を求めて 120ヵ国以上を旅してきた写真家 野村哲也氏の連載。

 

194-sasaki◆銀河浴写真家 佐々木隆 連載『私たちは銀河のなかに生きている』

「宮城県 化女沼レジャーランド」

生かされていることに気づけば、人生はもっと豊かになる。
銀河を舞台に生命の息吹を写しとる、佐々木隆氏の銀河浴写真。

 

 

194-yamamoto◆作家 山元加津子 連載『ありのままの私たち』

「自分を受け入れたら人のことも受け入れられる」

人と違っていても、障がいがあっても、人はみな素晴らしい力を持っている。
植物も動物も人間も、みんなでひとつの命を一緒に生きている――。
長く特別支援学校で子供たちと接してきた山元加津子さんが伝える、生きる上で大切なこと。

 

◆伊藤忠商事理事 木暮浩明 連載『うつくし、日本』 最終回

「日本武道界におけるアドバイス」

日本を代表する総合商社の商社マンとして、イギリス、アメリカ、東欧、中近東、
通算17年間の駐在経験のある木暮氏が語る、日本人とは。真の国際人とは。

◆編集部コラム 『心の奥の取材ノート』

「医師 日野原重明先生のこと」

交わした言葉、ちょっとした仕草、振る舞い ――
今もありありと思い出す、取材で出会った人たちの思い出を綴ります。

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