『カンタ!ティモール』上映会を開催しました
2024年11月27日(水)、3回目となる季刊『道』にまつわる映画上映会を、町田市民ホール(東京都)にて開催いたしました。
今回の上映は、『道』222号(2024秋)にインタビュー掲載させていただいた、映画監督 広田奈津子さんの『カンタ!ティモール』。
『道』購読者を中心に40名を超えるご来場をいただきました。
インドネシアに占領、弾圧された人々が独立を手にするために、どんな犠牲を払い、苦難を乗り越えてきたかが、当事者の言葉で語られていきます。
たいへん重いテーマですが、「やり返す」という方法でなく自由を勝ち取った事実と、子どもたちの笑顔、歌声が希望となります。
戦争とは、自由とは、平和とは……
日本がこの戦争に加担していた事実。
受け止めること、感じること、考えさせられることの多い映画でした。
上映後、主催者・季刊『道』編集長が『道』222号号の広田さんインタビューから、
主人公の一人、アレックスの“遺言”を読み上げました。改めて、この映画が伝えてくれるものに向き合いたいと思います。
以下に、参加者の感想をご紹介いたします。
●神奈川 主婦 50代
大変重い内容でしたが、大人も子供も、笑顔の素晴らしさ、明るい歌声に、晴れやかな気持ちになりました。戦争をしかけるのも人間、それに対して決して相手を傷つけることなく誇り高く戦うのも人間。考えさせられました。大地とのつながり、神とのつながり、先祖とのつながりが人を本来の姿に導くと希望をもちました。ありがとうございました。
●群馬 会社員 女性 60代
見ていてとても胸が苦しくなってしまった。そんな中でも子供たちの目の輝きが印象に残りました。私は今この東ティモールの人たちの思いをどんなふうに受け止めて過ごせばいいのあろうか。考えて考えてそれでもきっと答えはでないと思います。一生懸命生きていく。
●東京 会社員 男性 50代
東ティモールの独立に至る道のりについて何も知らなかったことを恥ずかしく思いました。独立に至るまでの24年間、長引いた原因の一つとして日本が国際連合での東ティモール独立決議に対して「NO」を投票し続けたこと、それを報道しないマスコミ、無関心な私たち国民の責任であることを知り、ショックを受けました。知った以上はこのことを多くの方々に知っていただくよう、シェアしていきたいと同時に、自分が何ができるか考えて行動していきたいと思います。
●東京 パート 女性 50代
苦しい映画でした。でも大地を基盤にしているティモールの人たちは悲しくても心が広い。「許す」以上の何かをきちんと想っています。日本には自然に敬意をあらわさないので自殺が多いかもとティモールの人が言っていた時、そうだなと心から思いました。親兄弟の骨を弔うことができないなんてどんな思いだろう。80年代、日本はバブルでした。私は貧乏でしたがそんな問題じゃない。苦しかった。でも教わる映画だった。
●東京 自営業 女性 40代
東ティモールの方の生活に古来の日本を感じました。どんなひどいことをされても憎まない。悲しいと涙されていたことに戦争の醜さを感じました。子供たちの笑顔がとても印象的でした。素晴らしい上映会をありがとうございます。日本が戦争に力をかしている現実を知らなかったのが辛いです。
●東京 看護助手 女性 50代
人はなんて残酷になれるのだろうかと思う。知らない無関心の裏でものすごいことが起きていたのだと知り、愕然とした気持ちになりますが、そんな中『道』を読んでいるととても希望をもてるし、進むべき道が見える思いがします。大切にしたいです。
●埼玉 ドライバー 男性 50代
子どもたちが心の底から楽しく歌っている姿に感動した。自然の映像も美しくそれを尊んで生活している住民がうらやましく思った。そこで戦争や虐殺が起こっていたことには衝撃を受けた。『道』やこの映画をみるまでは何も知らなかった。この国の人々のように強く正しく、美しく真剣に生きていきたいと思いました。
●神奈川 公務員 女性
歴史を学ぶようないイメージで参加しましたが、つい最近のことです。ましてや日本が加担していたことすら知りませんでした。政治や外交に疑問をもつことがほとんどなかったので。様々な角度で世界を見る。そして日本人としてみなおしていきたいです。子どもたちの笑顔と歌に癒されました。とても自然ですね。
●東京 主婦 女性 50代
とても悲しかったです。東ティモールの人々は心がきれいだと思いました。映画として人々に伝えてくださった広田様に感謝いたします。
●素晴らしい映画でした。子どもたちの笑顔はなんであんなに澄み切っているのでしょう。3人に1人殺されても家も親戚も越えて生き残った大人が育てる。その愛の器の大きさでしょうか。ルリークの存在でしょうか。日本の”神”と通じるけれど何か違う。とにかくアレックスが人格者。それでいい男!と思っていたのに、亡くなってしまったんですね。天から見守っているでしょう。
●東京 会社員 女性 40代
この度は、「カンタ!ティモール」上映会を開催いただき、観る機会を与えてくださり、お礼申し上げます。
同じく上映会にいらした方の中には、金融に携わり、当時インドネシアに向けてファイナンスを行っていたという方や、パイロットで当時インドネシア便を飛んでいたという方もいらっしゃいました。わたし自身、2002年くらいまで銀行員の父がインドネシアへ赴任していましたので、その恩恵を受けて育っております。
3人とも、当時のインドネシア政府に対する日本からの支援のことは知りませんでした。
わたし自身、当時大学生から社会人1年目になる頃で、東ティモール独立というニュースを当時みていたことを覚えていました。しかし、思っていたことは、東ティモールという未だ植民地時代の影響を受けていた国があって、この時代にようやく独立となった、よかった、という程度のものでした。
無知でしたし、その支援を背景とした日本でのインドネシアでの経済活動から恩恵を受けていますし、知らなかったとは言えなかったと、「国際関係」を遠い、あくまで自分事じゃないことととらえていたことに気づき、重い気持ちがあります。
木や岩にも神が宿るという感覚は、昔の日本のものと同じですし、社に祭られていた神器は鏡のようなものがあったり、日本のものととても似ていると感じました。
今回の映画の観覧は、季刊どうの広田監督のインタビューを拝読後に拝見しました。
作中も姪や甥という言葉がない、みんな親、みんな子、区別がないこと、あなたとわたしもどちらも同じ言葉で区別がないこと、あなたはわたしでわたしはあなただという感覚は、本来の人間がもつものだと思います。
大地が母であること、作中も都会へ出ようとする友人に対して、アレックスがかけていた言葉、歌詞にもある、大地は受け止めてただしてくれるという内容。
ティモールの皆さんは、皆さん怒りはないと口を揃えておっしゃっていました。
またいつも歌っていました。よく笑っていました。日本では目に見えることだけ重視し、目に見えないものを軽視するようになって、自ら命を絶つような人たちが出てきていること等もありました。
この映画でみせていただいたことは、現代の人類みんなみたほうがいい、気づいたほうがいい、思い出したほうがいい内容だと感じてます。
また、今でも日本政府はどこかの国への支援を行っています。しかし、大きな力に対して何ができる、と思いがちです。でも、ティモールの方々は独立と戦争の終了を果たしました。
現代に対して絶望するのではなく、本来へ還れば希望があると感じています。
また世界は変えられるものだとも感覚的に受け取れるものがありました。
具体的に「これをしよう」「この方法をとろう」というものが理屈で整理できているわけではありませんが、受け取った感覚を信じて日々生きていけば、世界に対しても、社会に対しても、自分自身に対しても希望がもてそうです。
映画をみさせていただき、改めてお礼申し上げます。
●神奈川 会社員 男性 59歳
東ティモールの事をあまり知りませんでした。
非常に過酷な戦いを経て、独立を勝ち取ったことを初めて知りました。
その戦いの中で、敵の兵士を傷つける事なく、自分達の意思を伝えて解放するということは、とてもできることではありません。
彼らは自分達の家族を殺戮しているのです。
彼らの強さはどこから生まれているのでしょう?
彼らの明るさはどこから生まれているのでしょう?
「独立国よ、一体何をしているのだ?」
「将来の子供達に何を残そうとしているのか」
我々全てに問われているのだと思います。
●神奈川 健康指導 男性 61歳
ティモールの人々の暮らし方、生き方に和を以て貴しとする本来の日本人が持っているはずの大切なものを感じました。日本人というよりも人間としてのDNAかもしれません。
身内を殺され、レイプされても憎しみや怒りで報復するのではなく、人間として話し合い、コミュニケーションで味方にしていく。国民投票で圧倒的多数で独立を承認されながら、直後に大量殺りくで多くの同胞を失う。
信じられない歴史の真実を知り、しかも日本が虐殺する側を支援していた事実に驚きました。
魂に響く物語、映像と音楽、多くの方々にご覧いただきたいと切に思います。
貴重な機会をありがとうございました。
●神奈川 自営業 男性 59歳
子供たちの笑顔、みんなの歌声に引き込まれて時間を忘れました。
一番の感想はもう一度見て自身がどう感じたかを確認したい。という感じです。
自身のはみ出た腸を押さえながら崖を上ったとか、手を縛られて来る日も来る日も
ひどい目にあわされ続けた女性が、子供たちのために死ぬわけにはいかない。という想いや面白くて不思議な歌がうまくないと牛が仕事をしないエピソードとか、掘り下げると無数にあります。かつては日本もそうであった寄り添うような文化が失われてしまっておそらく取り戻すことは出来ないと思います。
ならば今出来る事を考えて行動をしていく事が大切だと思います。
その意味でもう一度観てみたいです。そしてその答えが季刊誌『道』の中にいろいろな形で散りばめられているとも感じております。
上映会をありがとうございました。
●東京 会社員 男性 60歳
季刊『道』の記事で、ある程度の知識を得てはいましたが、実際の映像に触れショッキングでありながらも感銘を受け、人間の残酷さと素晴らしさの両面を感じさせ、そして色々考えさせられた映画でした。
戦争になると、虐殺やレイプや拷問などの凄まじい人権蹂躙が起こることは伝え聞いておりましたが、実際に体験した方々の証言とその映像が非常にリアルであり、人間はここまで残酷になれるのだろうかとショックを受けました。しかしながらその方々が、「怒りはもうない。しかし悲しみは残っている。」と述べ、圧倒的な勢力差での二十数年にも及ぶ絶望的な状況の下、独立のためのゲリラ活動を行い、捕虜としたインドネシア兵を、家族を殺したりレイプしたりした憎き敵にも関わらず、こんこんと説き伏せて無傷で解放し続け、遂には独立を勝ち取ってしまったという事実に心を揺さぶられると共に、それがほんの二十数年前の出来事であったということも驚きでした。また残念だったのは、日本は先の大戦で空襲と原爆で焼け野原となり、多くの人命を失った苦い経験がありながら、インドネシアの東ティモール侵略非難の国連決議に、欧米各国が賛成しながら日本は反対し、それどころか資源欲しさにインドネシアに多額の資金援助を行なっていたという事実を知ったことでした。私たちはいかに事実を知らされていないかをまざまざと思い知らされました。
また映画の中で、田んぼを中心とした田園風景が映し出され、どこか懐かしさを感じました。そこには人々の自然に対する尊敬と畏怖があり、「大地との絆を切るな、お前が暮らす大地を敬え、そうすれば絆ができる」とあり、子供たちが屈託なく歌い踊り、裸足で走り回る底抜けの明るさに、希望や未来を感じました。これが人間の本来の姿なのだと感じさせられました。しかし収穫を神に感謝し、それを通じて絆を深めるという行いは、古来からの日本人の姿ではなかったか、しかし日本人はそれを忘れてしまっているとも思いました。
実際に現地に赴いて、多くの人々の証言を拾い上げ大統領にまでインタビューを行い、映像に記録し、ここまでの映画に纏めた広田奈津子さんの行動力は凄いものだと思いました。
●会社員 男性 50代
子ども達の明るい歌声と無邪気な笑顔から始まるこの映画がこれほど深い悲しみと苦しみを織り込んだものだとは思いませんでした。
そこに登場する人々は未来に繋げるエネルギーを持っていました。
「あなた」は「私」という感覚やリリックという神様を信じる心は日本人と近いと思います。
そんな東ティモールに日本が攻撃支援する側だったという事実は衝撃を受けると同時に、恥ずかしく情け無いと思いました。
インドネシア軍が住民に対して行った虐殺は凄惨を極め,聞いているだけで心が痛みます。
そのインドネシア軍を捕虜にした時、自分たちが目指す未来はこういう事だと伝えてそのまま帰らせた事に驚きました。
復讐の対象となる相手にとった行動は人として品格の高い行動です。
この極限状態で調和の世界を体現したことは世界中から尊敬されるべきだと感じました。
歌って踊ることで人が繋がることを知っていた東ティモール人の感覚は人として本来あるべき姿なのかもしれません。
インドネシア軍も又、家族を持つ人間だとして接する東ティモール人に日本人が無くしてしまったものを感じます。
ゲリラ軍で戦う人たちに食料を届けていたことがきっかけで結婚した二人は仲睦まじく、馴れ初めを語る恥じらいは少年のようでした。
その二人の姿から長い間生死も分からず会えなかったことや、敵に捕まり激しい拷問を受け殺される寸前までいった苦しみを見ることは出来ませんでした。
過去を引き摺らない強さと未来に希望を持った生き方にエネルギーをいただきました。
映画の中で行動しているのは常に民衆の中の一人です。国でもなければ誰かに任せる訳でもありません。
この生き方を一番学ばなければならないのは日本人かもしれません。
私の心の奥に今行動しなければという思いを刻まれる映画でした。
この映画を撮影された監督に深い敬意と感謝を捧げます。
本当にありがとうございました。
●会社役員 男性 50代
東ティモールで紛争が起きたことは記憶にありますが、ここまでひどい殺戮が24年間にわたって起きていたこと、また現在も治安の悪い状態であることを聞いて驚きました。「悲鳴がしているのに聞こえない」「あえて悲鳴を聞かない」ようにしていました。目をそむけたくなるような光景そのものを見せるのではなく当事者が語られるため、非常にリアルに感じました。思い出したくもないようなことを伝えてくれた気迫を感じました。広田監督の話を引き出す力はすごいものがあると思いました。凄惨な場面の途中途中に挟んでいた、子供達の姿と音楽がこの映画の救いでした。
また、「ルリック」=八百万神ではないかと驚きました。虐殺された市民を日本の「日野トラック」(日本のインドネシアへのODAで購入されたものだと思います)で運んでいたという事実に資本主義の恐ろしさを感じました。「正義と悪」「邪悪とピュア」が表裏一体で繋がっている世界のことをもっと勉強しないといけないと思わせる映画でした。
この映画の上映会の後にNHKで映像の世紀バタフライエフェクトの「ふたつの敗戦国 日本 660万人の孤独」という番組をテレビで放映していました。
満州から引き揚げてこられた、日本人女性と子供の悲劇に関して衝撃的な場面がたくさんありました。私は思わずリモコンで番組を変えてしまいました。でも、悲鳴を聞かなければと思いNHKに戻りました。
映画の良さは、逃げることのできない環境で見ることだと感じました。監督の作った作品を見る覚悟がある人が、上映会に出かけるのだと思います。
自宅で自分ひとりで見るテレビは自分の好きな場面をいつも追っています。他人の悲鳴をチャンネルを止めてまで見ることは私にはできませんでした。
気心が知れた仲間が集まって『カンタ!ティモール』の上映会をすることはたいへん意義があると思います。
このような上映会を開催いただき、ありがとうございました。
●自営業 男性 70代
東ティモールにおいて、あの様な非人間的で悲惨な鬼畜行為が行われていたことを初めて知り、強い衝撃を受けました。
その時期日本は彼らの犠牲の上にバブル経済期を過ごし、贅沢な暮らしを謳歌していたことを知らなくてはいけない。
そういう意味で、この映画は重要な役割を持っていると思います。
広田監督の生き様とエネルギッシュな行動力は素晴らしく、いずれ広く称賛される日が来ると思うし、来なければいけないと思います。
それにしても、人間の欲と無関心がこのような悲劇を生み、また、国連の無能さを浮き彫りにしています。
東ティモールの人達の崇高な人間力は、宇城先生の気の力と通じるものがあると思いました。