13 8月

「本物の人」 岩井喜代仁 茨城ダルク代表

毎回、岩井喜代仁さんの連載には、心にずしーんとくるものを感じています。

 

岩井さんの言葉が、真実でありかつ何の飾りもなくそのままストレートにメッセージが伝わってくるからであり、だからこそ、その迫力ある岩井さんの胸の内の、あまりに赤裸々な吐露に読むほうが思わずたじたじになってしまうのです。

 

岩井喜代仁

 

元やくざの組長だった岩井さんは、麻薬の密売人もしていて、23歳から17年間、自らも覚醒剤にのめりこみ薬物中毒にくるしんでいます。

 

そして45歳の時にダルクと出合い、以来、一転して麻薬依存に苦しむ人たちを救う側に生まれ変わりました。
岩井さんの人生、、本当にすさまじいです。そして、ものすごく正直です。

 

岩井さんは、193号の宇城憲治氏との対談で以下のように言われていました。

 

「自分の信念の中で破ってはならないものがある。それは正直に生きる大切さです。

どう考えても病んでいる子たちを捨てる、手放すことができなくて。

これは一体自分の中の気持ちとして何がそうさせるのか。

たぶんこれが自分で分かった時に俺は初めて棺桶に入るんだろうなと思ったんです。」

 

岩井さんは、これまで、薬物依存の人たちを救う戦いのなかで、依存者一人ひとりと向き合う戦い、遺族との戦い、そして医療現場や、役所との戦い、地域住民との闘い、次から次に襲ってくる、これでもかというくらいに立ちはだかる現実の壁と戦ってきました。

 

しかし岩井さんは苦しみながらも、悩みながらも、絶対にその現状から逃げなかった。

 

だから岩井さんの「今」がある。

 

その岩井さんの「今」がつまっているのが、『道』の連載「今日一日を生きる」です。

 

岩井さんの逃げない人生、言い訳しない人生、その生き様、その姿は、
どんな分野にいる人たちであろうと、その背中を必ず押すものだと思います。

 

今回の『道』では、やくざの世界にいた子をダルクの施設長に育て上げるまでの奮闘が語られています。

 

[道197号]