プラニンは、『合気ニュース』時代、たくさんの合気道イベントを企画しました。
日本では、植芝盛平翁の直弟子を一堂に集めた『友好演武会』を4回にわたって開催。
海外でも合気道の大規模イベント「AIKI EXPO」を3度にわたって行ないました。
合気道の異なる流儀・会派からはもとより、合気道に関連した武道、あるいは合気道に必要だと判断した武術・武道の指導者を集めてセミナースタイルで指導してもらうというイベントでした。
組織を尊重する日本人には、このような発想のイベント開催はなかなか難しいところがありますが、プラニンには、盛平翁のことであればでも知りたい、合気道のためになることであればどんなことでも知りたい、話を聞きたいという姿勢が常にありました。
それがどんなに合気道にとって辛辣な内容であろうと、プラニンのきちんと話を聞く姿勢に変わりはありませんでした。
だからこそ、プラニンは、どんな組織のトップにも受け入れられ、話を聞くことができたのであろうと思います。
今更ながら、プラニンの器の広さを思います。
そのプラニンが、宇城憲治氏のことについて語った忘れられない言葉があります。
それは、
「私はこれまで取材だけでなく、多くの日本の男性、とくにビジネスマンに会ってきたけれども、正直、みんなどこか少し上から目線というか横柄な感じがあった。
しかし、宇城先生ほど、私の話にきちんと耳を傾け謙虚に聞いてくれた人はいなかった」
というものでした。
たしか、宇城氏の本の出版記念イベントの翌日のことだったと思いますが、宇城氏がプラニンのユニークなものの考え方に大変興味をもたれ、わざわざ時間をとってプラニンの話を聞きに来てくださったことがありました。
特別に借りた会議室に二人で向き合い、宇城氏がペンとノートを持ってプラニンの話に聞き入っていた光景が思い出されます。
今回、どう出版で発刊する宇城氏の空手書
『空手談義 型は美しく技は心で ― 座波仁吉・宇城憲治 ― 座談録』
では、プラニンが、座波・宇城両氏に直接インタビューしています。
(1993年~2000年の3回にわたり)
琉球手の歴史とその流れについてはもとより、合気道に通じる投げ技について、武道がどうあるべきか、師弟間についてなど、プラニンならではの視点から様々な質問をしています。
日本人ではしないような質問もたくさんあって、そこから引き出された内容も大変貴重です。
宇城氏は本書の「あとがき」で、
「……座波先生は武道研究家であったスタンレー・プラニン氏の客観的で鋭い問いかけに、噛み砕くように答えられていたのですが、先生を見るスタンレー氏のまなざしが信頼と尊敬に変わっていった姿に、流儀・流派、国境を越えて、まさに他尊自信を見た感じがしました」
と述べておられ、
宇城氏自身、プラニンに対し大変な信頼を寄せてくださっていたことがわかります。
流儀・会派にかかわらず、真の武術を求める方々には必ず大きな学びとなる2冊です。
是非ご一読ください。
現在予約受付中です。6月末発売。
◆『武術の実践哲学 宇城空手』
A5判上製 284頁 定価(本体2,800円+税)
◆『空手談義 型は美しく技は心で ― 座波仁吉・宇城憲治 ― 座談録』
A5判上製 口絵16頁/本文182頁 定価(本体2,200円+税)