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新版 合気修得への道


新版 合気修得への道

佐川幸義先生に就いた二十年

著者   木村達雄著
定価   本体2,700円+税
ISBN   978-4-904464-94-6
判型/分  A5判上製 カラー口絵 8頁/本文 240頁

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「合気について」改稿、新章を追加、佐川師語録を増補、未公開を含む50枚の写真を追加。「新版」として再登場!


筑波大学数学系教授として学問の道をきわめる一方、大東流合気武術佐川幸義師範に就き、合気の道をきわめること20年。著者が語る数学研究と合気修行人生、そして師・佐川幸義師範のこと。

2005年11月の初版発行から13年、やむことのない合気探究にともない、「合気について」を大きく改訂。さらに2018年に急逝した作家 津本陽の遺作『深淵の色は 佐川幸義伝』の舞台裏と未掲載エピソード、「佐川幸義顕彰碑」建立の経緯についてを新章として加えた。著者の稽古日誌からの佐川師の語録も増補。

写真は、佐川師の技の未発表写真や、佐川師の遺品から発見された武田惣角の未公開写真など50枚を追加。佐川師のご家族、弟子との写真など、巻末にはアルバムを収録した。

20年間身近に接してきた著者の知り得る佐川師についてのすべてを盛り込んだ、武術ファンにはたまらない一冊。

(※本書は日本語のみとなります。)

※「新版」に掲載された40技のうち「改定新版」で7技がさしかえとなっており、
「新版」と「改定新版」の両方であわせて47技が紹介されています。
「新版」「改定新版」ともに、合気ファンにとっては貴重な保存版!

<  貴  重  な  写  真  >

「佐川幸義 鎖鎌との対戦」

佐川師所蔵 未公開「武田惣角」
比較 佐川師の「大きくなる手」
家族・弟子との写真

著者メッセージ

本書は平成十七(二〇〇五)年に初版が刊行された「合気習得への道」の新版です。

もともと初版は、『合気ニュース』一四〇号と一四一号に載った私のインタビューに基づいています。

インタビューを単行本にする話が持ち上がったので、新たにいくつか章を書き加えたのですが、それでも単行本にするには量が足りないと言われ、苦肉の策で、インタビュー部分の英訳を最後に付け加えて何とか単行本として出版したのです。

 

最近になって、「今度九刷を出しますが、出来れば新版にしたい」と出版社から話があり、色々書き直すことにしました。

第一章から第三章は、インタビューに基づいているので、大きな変更はありません。

今、改めて読むと、あの時インタビューを受けていなければ、もうこういう内容は書けないような気もしてきました。物事には時期があると思いました。

 

数年前に佐川先生の息子さんが亡くなり、佐川家のお墓が品川駅の高輪口から柘榴坂を道なりに歩いて十五分ほどの所にある高野山東京別院の円融塔に移されました。

そして、その隣に、庵治石による佐川先生の顕彰碑が建ちました。

これには、直木賞作家の津本陽氏が関係しており、それがきっかけで、津本さんは、佐川先生に関する小説『孤塁の名人』に次いで、新たに『深淵の色は 佐川幸義伝』を書くことになりました。

津本さんからは、新しく小説を書くにあたって、新しい資料が必要だから色々協力してほしい、と言われました。そこでみんなで資料を調べたり、佐川先生の思い出を書いたり、それは一年以上に亘り、本当に大変な仕事でした。

しかし、それをやることにより、佐川先生に対する理解も深まり、また合気に関する認識も深まっていきました。

あくまでも津本さんが書くわけですから、こちらが良いと思った資料でも採用されないものがかなりありました。

丁度、この新版を書く機会が与えられましたので、津本さんの本で出せなかった情報なども、以上の経緯も含めてここに載せることにしました。

 

それが今回新しく付け加えた第四章「佐川先生の顕彰碑と津本陽氏の遺作『深淵の色は 佐川幸義伝』」です。

津本さんは、今年の五月に亡くなられましたが、単行本は無事に十月に実業之日本社から遺作として出版されました。

また、初版から十三年もたって、合気に対する私の考え方も大きく変わってきたので、この機会に、第五章「合気について」を全面的に書き直しました。

 

第六章は佐川先生の弟さんのインタビューで、ほとんど変更はありませんが、佐川先生による鎖鎌との公開試合の写真が追加されています。

第七章の佐川先生語録は、大幅に追加しました。また長尾進さんが津本さんの小説の資料として作成しながら使われなかった語録も、最後に加えました。

第八章、その他、この新版では、かなり写真を追加しており、そのいくつかはまったく初めて公開されるものであります。

 

この本が多くの人に夢や希望、そして勇気や力を少しでも与えることが出来たら、著者としては大きな喜びです。

また最近は、破壊や戦いではなく、合気による調和の考えが人類に浸透していくことが、私の夢であり希望になってきています。

木村 達雄

(「はじめに」 より)

目 次

カラー口絵 佐川幸義先生演武写真

立捕合気上げ / 前首締両手捕三人投げ / 合気正面打ち / 武田惣角先生 / 佐川幸義先生 / 佐川先生と筆者

 

第一章 佐川幸義先生演武写真集 (技解説 木村達雄)

多人数捕 / 首締アゴ当て / 三元短筒捕 / 諸手捕返し技 / 片手捕合気投げ/ 両差捕合気投げ / 両差捕合気体返し / 諸手両袖捕合気二人投げ / 諸手捕合気投げ / つかみ手投げ / 前首締両手捕三人重ね倒し / 棒の合気 / 三人重ね倒し / 奥襟捕合気投げ / 両差捕外無双 / 外無双角度変更 / 前首締肘極め / 両袖捕すくい投げ / 両つかみ手回転投げ / 佐川先生の棒術 / 片襟片袖捕合気投げ / 四元すくい投げ / 片手捕外無双 / 外無双 / 腕抑え / 両手捕合気二人投げ / 側面体合気投げ / 前首締両手捕三人投げ / 柄頭崩し / 胸捕片手捕 / 両胸捕 / 短刀捕 / 立捕合気上げ / 体合気二人投げ / 合気拳法 / 棒を構える佐川先生 / 片手捕三人重ね倒し / 道場訓

 

第二章 数学の研究と合気修得に明け暮れた日々 

本物志向を徹底的に仕込まれた幼年時代 / 心の奥深くで何かが揺れた / 限界は十五時間三六分四十秒! /“文”を立てれば“武”が立たず / 稲葉稔氏との真剣稽古 / 植芝盛平翁の合気道 / 佐藤幹夫教授の講義で“数学開眼”/ 寝ても覚めても数学の日々 / 怒鳴られるたびにエネルギーが作動した / 数学は体力だ / 数学は“数覚”がないとダメ / 外国で、合気道が効かなかった! / 佐川先生との出会い / 四股千回で佐川先生とつながっていた / 実戦に動じない境地へ

 

第三章 大東流合気武術 佐川幸義先生 

合気は意識の技術 / 「あんた以外に教えると思うのか」/ 「これを残したい」/ 台所で、マンツーマンの合気指導 / 先生の波長と合わせる / 外からコツンと合気の種が来た / 合気を伝えるまでは…… / 最期にあの技を三回かけられた / 合気をつかむまで/武田先生と佐川先生の世界 / 二人の師に恵まれて / 『透明な力』の出版をめぐって / 合気の先に広がる人間の可能性

 

第四章 佐川先生の顕彰碑と津本陽氏の遺作『深淵の色は 佐川幸義伝』

 

 

第五章 合気について

 

 

第六章 佐川幸義先生の修行時代―― 実弟・佐川廣氏談

父・子之吉のこと / 母・かつの / 兄・佐川幸義 / 若き日の武勇伝 / 帰郷して再び武田惣角先生を師として / 兄の稽古台になる / くっつける合気の会得 / 常に体の鍛練を怠らなかった /「死ぬまで研究」を信条に /「弟子が強くなるから俺も強くなる」/「鎖鎌との対戦」

 

 

第七章 佐川幸義先生 語録

 

 

第八章 思い出アルバム

佐川先生のご家族 / 在りし日の佐川先生 / 佐川先生と共に

(発売日  2018年12月6日発売)

佐川幸義

 ◎ 佐川幸義 (さがわ ゆきよし)

1902(明治35)年、北海道湧別に生まれる。10 歳の頃より、父・子之吉とともに大東流武田惣角の指導を受ける。1932 年4 月24 日北海道札幌にて惣角より教授代理を許される。以後惣角の助手として各地に指導にまわる。1955 年から小平市の自宅に道場を開く。
1998 年3 月24 日永眠。享年95 歳。

著者プロフィール

木村達雄

 ◎ 木村達雄 (きむら たつお)

1947(昭和22)年、東京に生まれる。1979 年、佐川幸義宗範に入門。最高教程である第十元までの直伝講習を受ける。
また佐川宗範を世に出した『透明な力』(講談社)を著す。筑波大学名誉教授。理学博士。佐藤幹夫教授の理論を紹介した『概均質ベクトル空間』(岩波書店)を著す。

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