天体写真家・高校教諭 佐々木隆氏 と 宇城憲治氏が対談
2012年2月初旬、大阪・汎愛高校教諭で、天体写真の専門家でもある佐々木隆氏とUK実践塾宇城憲治氏との対談が行なわれました。
佐々木氏は、高校教諭として、またソフトテニス部の監督として子どもたちと日々接するかたわら、年間100日以上を天体・銀河の写真撮影にかけ情熱をそそがれています。
佐々木氏撮影の知床の流氷
「月も、太陽と一緒で沈む時に赤くなるんです。」
52歳の時、オーストラリアで眩しいほどの天の川と出合い、「生かされている自分」に気づかされ、喜びに包まれたと言います。宇宙と命をテーマにした佐々木氏の写真は、言葉を介さずとも私たちに「生かされている命」の尊さをまっすぐに伝えています。
「大事なことは命に対する謙虚さなんですよね。
それをもたないと人間は本当の喜びを味わえないんじゃないかと思います。
心を開いて人と共に生きるということがものすごく喜びのエネルギーと
なるのではないかなと気づいたんです」 (佐々木氏)
対談では、今の世の中のさまざまな問題の原因は知識偏重にあり、それを増長させている、受験に重きを置く教育システムや勝敗にこだわるスポーツ、目先に走るメディアのあり方すべては、この「生かされている」ことを忘れた人間の横着にあること、まずは教師、親、大人がこのことに気づき、謙虚さをとりもどすことがいかに大切かが語られました。
「100万分の1秒という時間を持つ60兆個の細胞が、
この星を見て何も感じないということは細胞が死んでいるも同然なんです。
もちろん実際は死んでいない、つまんだら痛い。
では、なぜ感動できないのか、何が邪魔をしているのか。
そのことに気づき、気づかせることが今もっとも急がれることなのです。」 (宇城氏)
未来ある子どもが現状の知識偏重の世界のなかでこのまま育っていくのか、あるいは今、親が、教師がその愚かさに気づいて、自分たちこそ変わり行動していくのか――。
その「今」に気づき、「今」を変える行動ができるのか。
対談は、その待ったなしの選択を大人たち一人ひとりに問うものであり、同時に自分が勇気をもって踏みだせば、そこに必ずエネルギーが生まれる、その希望があるのだということも教えてくれるものでした。
この対談が現状打破にとりくむ多くの教師、親、大人の行動の勇気につながることは間違いありません。
対談は4月発売の『道』172号に掲載いたします。