季刊『道』連載 金澤泰子さん「あふれる真心と愛」より
現在『道』で連載していただいている、ダウン症の一人娘・翔子さんを書家に育てあげた金澤泰子さんの記事「あふれる真心と愛」からの言葉を紹介します。
「一緒に死のうと思って彷徨(さまよ)っていた時期、
翔子が小さな子犬を見て、頬を染めて微笑んだ。
知能がないと告知されたにもかかわらず、
翔子の体内で起きているこの「頬を染めて微笑む」という
見事なメカニズムに、私は、これはもはや人間業ではなく、
神の御業だと気づき、人間の神秘の重大さを感じて
思いとどまり、深い絶望の淵から這い上がった。
何があっても泣いたり騒いだり不満を言うことなく
静かに微笑んでいる翔子の、
この不思議な微笑に神の光を見ざるを得なかった。
自分のことに涙を流すことはほとんどない。
この世に不満のかけらも持たない。
いつも他の人の悲しみや痛みに涙を流す。
教えたわけではないのに顕(あらわ)れるこの不思議な感情は、
あまりにも尊くて、私はこのことをどうしても語り継いで
おかなければならないと思っている。
とても大きなものを包括しているので、
どこまでそれが伝えられるか分からないけれど、試みてみたい。」
毎号、一人娘・翔子さんへのあふれる思いがつづられています。
全文は、最新号『道』174号でお読みください。
金澤泰子(かなざわ やすこ)
書家。
久が原書道教室主宰。