30 3月

なぎなた範士 澤田花江先生の気迫

私たちが初めて
なぎなた範士の澤田花江先生にお会いした時、
澤田先生はすでに90歳を超えていらっしゃいました。

新宿の稽古場に伺うと、背筋をピンと張った先生が、
大きな声でお弟子さんたちを
それはそれは厳しく指導されていました。

「私を叩いてみなさい。あなたたちに叩かれる稽古などしていない」

「口で教えるならそれこそ本を見て覚えさせたらいい。
やって見せなければわからない」

「言っても直さない人には教えない。
ああ、悪いところがあるから言ってくださった。
どこが悪かったんだろう、と自分で探すことが上達です。
あの先生はいつも言う、と思ったらだめです。
ありがたい。と思って自分で直していくことが稽古だよね」

取材のたびに、小柄な先生の気迫の指導に圧倒されました。

ある時ご縁があり、ある企業で澤田先生が講演をされた時に
同行させていただきました。

用意された椅子に一度も座られることなく、
背筋をピンとはり、3時間ぶっ通しで
なぎなたと稽古、日本についてのお話をされていた
先生のお姿は瞼に焼き付いています。
そして先生は講演後すぐに、その足で稽古場へ向かわれていました。

私たちの生ぬるい生き方と、
先生の命がけの生きざまとの違いを
まざまざと教えられた日でありました。

澤田花江著『あくなき向上心』
https://www.dou-shuppan.com/aku/