巻 頭 対 談
人の心に樹を植え、命を育む
海・山・川・里の循環が教えてくれること
NPO法人 森は海の恋人 代表 畠山重篤 VS UK実践塾代表 宇城憲治
人間の意識が変わらなければ
環境は変わりません。
山に樹を植えるだけでなく
人の心にどうやって樹を植えていくか
これに尽きるのです。
牡蠣の養殖を営んでいた畠山さんが、汚れていく海に危機感を覚え、直観的に始めたのが、漁師が山に木を植える「森は海の恋人」運動だった。畠山さんが、海だけを見ずに河川とその流域、そして森へと視点を移らせていったのは、大きな循環のなかにこそ命の根源があることを知っていたからだ。
対談で浮き彫りになったのは、〝循環〟ということ。それは、海も森も川も、そして私たち人間も、自然回帰できれば、それだけで豊かに蘇る、ということだ。
そこに気づいた人たちによる、分野、立場、専門を越えた横の連携は、今、総合的な視点で、次世代の子供たちを粘り強く育みつつある。
ロングインタビュー
子供たちの能力を最大限引き出すドミニカ共和国の野球指導
日本の野球を世界から見つめて
NPO法人 BBフューチャー 阪長友仁
上手くなりたくない選手なんていないし
三振したくて三振する子は一人もいない。
みんなうまくなりたいに決まっている。
ですから、指導者が怒る必要なんて全くないのです。
カリブ海に浮かぶ人口1000万人の小国ドミニカ共和国。
この国が、日本の10分の1の人口でありながら、10倍以上のメジャーリーガーを輩出する野球強豪国であることは、まだまだ知られていない。そこで展開する子供たちの選手育成法は、目先の勝利ではなく、ひたすら子供のもつ能力を長いスパンで育み将来的に開花させるあり方を貫くものであり、その根底にあるものは、日本の野球界はもちろんのこと、スポーツ界全体、さらには教育界や組織のあり方すべてに参考になる取り組みである。
24歳から開発途上国への協力事業にたずさわり、アジア、アフリカ、中南米における野球指導や、グアテマラ共和国でのJICA企画調査員としての勤務経験のある阪長氏が、2014年末より2ヵ月間、研修目的でドミニカ共和国に滞在。氏を通して見えてくる、本当の意味での教育とは何か。
ロングインタビュー
胎内記憶
子供が届けてくれる、命のメッセージ
産科医 池川クリニック院長 池川 明
感性が鋭く1千万のことが分かる子供に、
2千しか分からない大人が教える……これ、おかしくないですか?
そう考えられる親かどうかで、
子育ても、子供の成長もまったく違ってくると思います。
子供たちが語る、お母さんのお腹の中にいる時の記憶や、お腹に宿る時の記憶。
そんな子供たちの声を拾い上げ、お産の現場で活用する池川明先生は、「赤ちゃんは何もかも分かって生まれてくる」と語る。
この、赤ちゃんへの向き合い方は、医学の常識にとらわれていたら決して出てこないもの。
命という現場を徹底的に見つめてきたからこその、池川先生のメッセージは、子供にまつわる様々な課題に対し、大きなヒントとなり希望となるのではないだろうか。
被災地の今
福島こそはじまりの地
学習院大学教授 福島県立博物館館長 赤坂憲雄
福島は新しい風景を自分でつくることなしには
生きていけない土地になりました。
自分たちが自分たちで責任をとる覚悟で
事業にかかわることによって、
必ずそこに新しい風景が生まれるのです。
90年代初めから20年間東北を歩き、自ら「東北学」をおこした赤坂氏。99年に刊行した雑誌『東北学』を通じ、地域の歴史や文化・風土を学び、地域の明日をデザインしようと呼びかけたメッセージは、多くの人に受け入れられた。東北を自らのフィールドにしてきた赤坂氏だからこそ、常に「東北のために何かをやる!」が原点だった。
震災は、そんな赤坂氏を一気に行動にかりたてた。震災直後に立ち上げた、「ふくしま会議」への思い、これからの東北の復興への思いを聞いた。
連 載
◆伊藤忠商事理事 木暮浩明 連載『うつくし、日本』
海外における失敗例と対応策
日本を代表する総合商社の商社マンとして、イギリス、アメリカ、東欧、中近東、
通算17年間の駐在経験のある木暮氏が語る、日本人とは。真の国際人とは。