季刊『道』183号

テーマ  「まず行動、そしてやり抜く」

巻 頭 対 談
「アフリカに渡って50年 個が光っていれば相手を変えることができる 」 

    ケニア・ナッツ・カンパニー創業者  佐藤芳之 VS UK実践塾代表  宇城憲治

 

 

まず行動すること。
歩くこと。
一歩出ること。
人間は動物です。
動物は動くものです。
生きているものは 動いてエネルギーを出すものなのです。

アフリカの大地に足を踏み入れてから50年、様々な紆余曲折を経て、1974年に起業した会社を、世界5大と言われるマカダミアナッツカンパニーに育て上げ、現地で多くの雇用を生み出し、25万人もの生活を支えてきた佐藤芳之氏。しかし佐藤氏は、「ビジネスはアフリカ人が自立するためのもの」と、ほぼ無償で現地の人に会社を譲渡。現在は、大量虐殺の傷跡がいまだ残るルワンダの地で、ナッツビジネスほか、あらたな事業を展開している。

アフリカ大地のように、シンプルで自由で自然体、その何者にも縛られないスケールの大きさは、疲弊しきっている日本の空気を、根底から吹き飛ばす勢いに満ちていた。

特 別 対 談
「現状を直視し、世界と勝負できる日本へ 青色LEDの開発から見えてきたこと」 

 2014年ノーベル物理学賞受賞 カリフォルニア大学教授 中村修二 VS UK実践塾代表  宇城憲治

 

天体望遠鏡があるから遠い星雲が生まれたのではありません。
万有引力のニュートン力学があるからリンゴが落ちるのではないのです。
つまり、科学というのは、自然の姿、実態を、 人間にわかりやすく翻訳するための道具のようなものです。
(中村修二著『怒りのブレイクスルー』より)

その科学が道具であるならば、使って何かを作らなければならない。使い方ばかりを習熟するのではなく、人間の生活に役立ててこそ。2014年度ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏はまさに発明した青色LEDで、従来の概念を覆す光の革命をもたらし、省エネで長寿命の照明やディスプレーなどの新産業を生み出すことに貢献。基礎研究に与えられることが主流だったノーベル賞が、すでに商品化され実用的に普及している技術に与えられたことは、まさに快挙であり、その意義は非常に大きい。

中村氏の開発に至るまでの思い、世界に出たからこそ見えてきた日本の課題、日本の誇り、これからの中村氏の思いなど、
中村氏と同じく長年エレクトロニクス技術者として世界の第一線で活躍してきた宇城憲治氏と忌憚なく語っていただいた。

ロ ン グ イ ン タ ビ ュ ー
「「できない」とあきらめず、まず行動。そして成功するまでやり続ける!」 

    ローマ法王に米を食べさせた男』著者 羽咋市教育委員会 文化財室長 高野誠鮮

木村氏と高野氏 

物事を踏み切る時に、失敗した時のことを一切考えない。
『どうしたらそれができるか』だけを考えるのです。
そして行動を起こすだけなのです。

石川県羽咋市の職員であり、僧侶である高野誠鮮さんは、本物の宇宙船やロケットを導入した宇宙博物館をつくって村の町おこしを実践したり、限界集落と言われた過疎地をよみがえらせ、その地でとれた米を見事ブランド化。さらには奇跡のリンゴの木村秋則氏と手を組んで、農薬肥料除草剤を使わない自然栽培を農協(JA)と共に取り組む道を開くなど、その活動はおよそ役所的な発想では辿り着かない独自の発想と行動力に溢れている。
そこにある信念は、「何があっても〝できない〟とあきらめず、まずは行動すること」。
高野さんのお話は、すべてが停滞してしまったかのような今の日本に大きな風穴をあけ、一歩踏み出す勇気を与えてくれるものだった。

被災地の今
「立ち向かえ! 絶望の先にこそ希望はある」 

    希望の牧場 代表 吉沢正巳

吉沢正巳氏  吉沢正巳氏

『生きる意味がない』と避難民は言う。
しかしそれは模様眺めだからだ。
一歩踏み出して、自分から行動していると
新しい意味は作られる。
行動しなければ出てこない。
絶望の先にこそ、本当の希望があると俺は思うんだ。

2011年3月11日の東日本大震災による福島原発事故後、警戒区域内の家畜を殺処分すると決めた国に従わず、今もボランティアや寄付によって300頭を超える牛を飼育する「希望の牧場・ふくしま」。東京電力福島第一原発から14キロの地点に位置し、前号182号に登場いただいた映画監督 岩崎雅典氏がドキュメンタリー映画『福島 生きものの記録』で取り上げた「斑点牛」がいる牧場だ。

代表の吉沢正巳氏は、全国各地を宣伝カーでまわって現状を訴えながら、牛飼いとしての使命をまっとうしようとしている。
国の政策に対する不信感、原発再稼働に流れる風潮、原発避難民に対する問いかけ ――
「いのち」を軸に活動する吉沢さんの言葉を、私たち日本人は真剣に受け止めなければならない。

 

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  【巻頭対談】
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   アフリカに渡って50年 個が光っていれば相手を変えることができる
  【特別対談】
2014年ノーベル物理学賞受賞
  カリフォルニア大学教授 中村修二
   VS UK実践塾代表 宇城憲治

   現状を直視し、世界と勝負できる日本へ 青色LEDの開発から見えてきたこと
  【ロングインタビュー】
『ローマ法王に米を食べさせた男』著者
  羽咋市教育委員会 文化財室長 高野誠鮮

   「できない」とあきらめず、まず行動。そして成功するまでやり続ける!
  【被災地の今】
希望の牧場 代表 吉沢正巳
   立ち向かえ!絶望の先にこそ希望はある
  【連載】
武道家・UK実践塾 宇城憲治
   気づく気づかせる  「目に見えないものを見える形に」
茨城ダルク代表 岩井喜代仁
   今日一日を生きる 「神に対し、もう一人の人間に対し、自分の誤りを認めた」
銀河浴写真家 佐々木隆
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作家 山元加津子
   ありのままの私たち「『無脳症』のちーちゃんが教えてくれたこと」
写真家 野村哲也
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書道家 金澤泰子
   あふれる真心と愛 「翔子に満ちる無心の力」
伊藤忠商事理事 木暮浩明
   うつくし、日本 「海外生活20年を通して― 国際風習の相異 ― (その2) 」
 

 
 

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